ポルトガルワインとは、イベリア半島の西端、大西洋に面したポルトガルで造られるワインのことです。国土は小さいながら、ほかの国ではあまり見かけない土着品種がとても多く、北の爽やかな白から南の濃厚な赤、ポートワインやマデイラのような酒精強化ワインまで、幅広いスタイルがそろっています。品質のわりに手ごろなものが多いことでも、近年あらためて注目されています。
ポルトガルワインの特徴
ポルトガルワインの個性は、大きく3つにまとめられます。
- 土着品種が多い:トゥーリガ・ナシオナル、バガ、アリントなど、ポルトガルならではの品種が主役になっている
- 酒精強化ワインの伝統:ポートワイン、マデイラ、モスカテル・デ・セトゥーバルなど、世界的に知られる酒精強化ワインがある
- 気候の幅が広い:雨が多く涼しい北西部から、乾いて暑い南部まで、狭い国土の中に異なる環境がある
また、ポルトガルは世界最大のコルクの生産国でもあり、ワインと深く結びついた国です。ワインの基礎から知りたい人はワインの基本の記事もあわせてどうぞ。
主な産地
ポルトガルの代表的な産地を、北から順に見ていきましょう。
| 産地 | 場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヴィーニョ・ヴェルデ | 北西部ミーニョ地方 | 軽く爽やかな白が有名。微発泡のものも |
| ドウロ | 北部のドウロ川上流 | ポートワインの産地。近年は辛口の赤も高評価 |
| ダン | 中北部の内陸 | 山に囲まれた産地。上品な赤と白 |
| バイラーダ | 中部の大西洋寄り | バガ種の赤とスパークリングワイン |
| リスボン、テージョ | 中部 | 手ごろで飲みやすいワインが多い |
| アレンテージョ | 南部 | 暑く乾いた土地。果実味豊かな赤 |
| マデイラ | 大西洋の島 | 酒精強化ワインのマデイラ |
北部の白についてはヴィーニョ・ヴェルデの記事で詳しく紹介しています。
ドウロとポートワイン
ドウロ川の上流域は、急な斜面に石垣の段々畑が続く、ポルトガルを代表する産地です。1756年にポンバル侯爵のもとで産地の範囲が定められ、世界でも早い時期に法的な線引きがされたワイン産地として知られています。この段々畑の景観は「アルト・ドウロ・ワイン生産地域」としてユネスコの世界遺産にも登録されています。
ドウロで生まれる最も有名なワインが、ポートワインです。発酵の途中でブランデー(ブドウの蒸留酒)を加えて発酵を止めるため、ブドウの甘みが残り、アルコール度数も高くなります。かつては河口の町ポルトの対岸、ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアの貯蔵庫で熟成され、そこから世界に送り出されてきました。
| ポートのタイプ | 特徴 |
|---|---|
| ルビー | 若く、果実味の豊かな赤いタイプ |
| トウニー | 樽で長く熟成させ、色が褐色に。ナッツやカラメルのような香り |
| ヴィンテージ | 特に良い年のブドウだけで造り、瓶の中で長く熟成させる |
| ホワイト | 白ブドウから造る。辛口から甘口まで |
近年のドウロでは、ポート用と同じ品種から造る辛口の赤ワインも評価を高めています。甘口のワイン全般はデザートワインの記事も参考にしてください。
覚えておきたい土着品種
ポルトガルワインのラベルには、なじみのない品種名がたくさん出てきます。代表的なものを知っておくと選びやすくなります。
- トゥーリガ・ナシオナル(黒):ポルトガルを代表する品種。濃い色と花のような香り、しっかりした骨格
- ティンタ・ロリス(黒):スペインのテンプラニーリョと同じ品種。アレンテージョでは「アラゴネス」とも呼ばれる(テンプラニーリョの記事)
- バガ(黒):バイラーダの品種。酸と渋みが強く、長く熟成する
- カステラン(黒):南部で多く栽培される、親しみやすい赤の品種
- アルヴァリーニョ(白):ヴィーニョ・ヴェルデの北部が中心。香り豊か
- アリント(白):鋭い酸が特徴。各地で栽培される
- エンクルザード(白):ダンの品種。上品で熟成にも向く
ひとつの品種だけでなく、何種類もの土着品種をブレンドしたワインが多いのも、ポルトガルらしいところです。
選び方と合う料理
ポルトガルワインは、手ごろな価格帯でも満足度の高いものが多いと言われます。はじめて選ぶなら、次のような考え方がわかりやすいでしょう。
- 爽やかな白が欲しい:ヴィーニョ・ヴェルデ
- 果実味たっぷりの赤が欲しい:アレンテージョ
- 上品で食事に合わせやすい赤:ダン
- しっかりした本格派の赤:ドウロ
- 食後の一杯に:ポートワイン、マデイラ
料理は、ポルトガルの食卓と同じく魚介や豚肉と合わせるのが定番です。白は干し鱈(バカリャウ)料理やイワシの塩焼き、あさり料理と、赤は豚肉のグリルや煮込み、ソーセージなどとよく合います。ポートワインは、ブルーチーズやナッツ、チョコレートとの組み合わせが知られています。手ごろでおいしいワイン探しには安くておいしいワインの記事も役立ちます。
大西洋の島のワイン、マデイラ
ポルトガルのもうひとつの有名な酒精強化ワインが、大西洋に浮かぶマデイラ島のマデイラです。ポートと同じくブランデーを加えて造りますが、大きな特徴は、熟成の過程でワインを温めることにあります。かつて船で赤道を越えて運ばれるうちに、熱と揺れによって味わいが深まったことが始まりと言われています。
こうして造られるマデイラは非常に長命で、開けてからも傷みにくいワインとして知られています。辛口から甘口まであり、セルシアル、ヴェルデーリョ、ブアル、マルムジーといったブドウの名前で甘さの目安がわかるようになっています。食前酒や食後酒のほか、料理の風味づけにも使われます。少しずつ楽しめるので、ポートとあわせて一本置いておくと、食後の時間が豊かになります。
まとめ
ポルトガルワインは、豊富な土着品種と、ポートワインやマデイラに代表される酒精強化ワインの伝統が魅力です。北のヴィーニョ・ヴェルデ、ポートの故郷ドウロ、上品なダン、果実味豊かなアレンテージョと、産地ごとに異なる個性があります。なじみのない品種名も多いですが、手ごろなものから気軽に試して、好みの産地を見つけてみてください。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。



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