キャンティ・クラシコとキャンティの違いは?トスカーナの赤ワイン入門

キャンティ・クラシコとキャンティの違いは?トスカーナの赤ワイン入門 ワイン

キャンティ(Chianti)とは、イタリア中部トスカーナ州で造られる、サンジョヴェーゼというブドウを主体にした赤ワインです。フィレンツェとシエナの間にある歴史的な中心地区で造られるものは「キャンティ・クラシコ」という別の呼称になっていて、黒い雄鶏(ガッロ・ネーロ)のマークが目印です。どちらも酸味が生き生きとしていて、トマトを使った料理やオリーブオイルの効いたイタリア料理とよく合います。

キャンティとキャンティ・クラシコの違い

店頭で「キャンティ」と「キャンティ・クラシコ」を見かけて、何が違うのか迷う人は多いと思います。2つは名前が似ていますが、法律上は別々のDOCG(統制保証原産地呼称)です。

キャンティ・クラシコ キャンティ
産地 フィレンツェとシエナの間の歴史的な地区 トスカーナ州のより広い範囲
サンジョヴェーゼの比率 80%以上(100%も可) 70%以上
目印 黒い雄鶏(ガッロ・ネーロ)のマーク 地区名(サブゾーン)が付くものもある
味の傾向 骨格があり、熟成にも向くものが多い 軽やかで日常向きのものが多い

ふつうのキャンティには、キャンティ・ルフィナ、コッリ・セネージ、コッリ・フィオレンティーニなど7つのサブゾーンがあり、地区名をラベルに添えたものもあります。なかでもルフィナは、質の高さで知られる地区です。

キャンティ・クラシコの歴史

キャンティ・クラシコの歴史は古く、1716年にトスカーナ大公コジモ3世が、キャンティの生産地域の境界を布告で定めたことがよく知られています。品質の高いワインを生む土地として範囲を示し、偽物から守ろうとしたもので、ワインの産地を法的に区切った早い例として語られます。

1924年には生産者たちが協会(コンソルツィオ)を設立し、黒い雄鶏をシンボルにしました。1984年にキャンティがDOCGとなり、1996年にはキャンティ・クラシコが独自の規定を持つ独立したDOCGになっています。このとき、サンジョヴェーゼ100%で造ることも認められました。

かつてのキャンティは、19世紀に広まった配合にならい、白ブドウを混ぜて造るのが一般的でした。わらで包まれた丸いボトル「フィアスコ」とともに、気軽な日常ワインのイメージが広まったのもこの頃です。その後、品質を重んじる方向へとルールが見直され、現在のキャンティ・クラシコはサンジョヴェーゼの個性を前面に出したワインになっています。

サンジョヴェーゼの味わい

サンジョヴェーゼは、イタリアで広く栽培されている黒ブドウです。キャンティでは、チェリーやプラムのような赤い果実の香りに、スミレやハーブ、紅茶のようなニュアンスが重なり、しっかりした酸と細かな渋みを持つワインになります。重すぎず、食事の邪魔をしない味わいがキャンティの持ち味です。

キャンティ・クラシコでは、サンジョヴェーゼを補う品種として、カナイオーロやコロリーノといった土地の品種のほか、メルロやカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種も使われます。ボルドー系の品種を加えたものは、色が濃く、ふくよかな印象になりやすいと言われます。品種の話はメルロやカベルネ・ソーヴィニヨンの記事も参考にしてください。

キャンティ・クラシコの3つの格付け

キャンティ・クラシコには、熟成期間などによって3つの段階があります。

区分 最低熟成期間 特徴
アンナータ(ふつうのキャンティ・クラシコ) 12か月 果実味が豊かで、比較的早くから楽しめる
リゼルヴァ 24か月(うち瓶内3か月以上) より深みがあり、熟成にも向く
グラン・セレツィオーネ 30か月(うち瓶内3か月以上) 自社畑のブドウで造る最上位。2014年に新設

グラン・セレツィオーネは比較的新しい区分で、近年は規定の見直しが続いています。キャンティ・クラシコの産地を11の地区(UGA)に分け、ラベルに地区名を記せる仕組みも導入されました。産地の中の個性の違いを伝えようとする動きとして注目されています。

合う料理と選び方

キャンティの酸味は、トマトやオリーブオイル、ハーブを使った料理とよくなじみます。トスカーナの郷土料理はもちろん、家庭の献立にも合わせやすいワインです。

  • トマトソースのパスタやミートソース(トマトソースパスタの作り方)
  • ボロネーゼやラグーなど、肉のうまみを煮込んだソース(ラグーの記事)
  • 牛肉のグリル、ハンバーグ、ローストポーク
  • ピザ、ラザニア、パルミジャーノなどのチーズ

選び方としては、ふだんの食事にはキャンティやキャンティ・クラシコのアンナータ、特別な日や肉料理を主役にする日にはリゼルヴァやグラン・セレツィオーネ、と使い分けるとわかりやすいでしょう。温度は16℃前後が目安で、冷やしすぎると酸と渋みが目立ちます。

スーパータスカンとの関係

キャンティの話をするときによく出てくるのが、「スーパータスカン」と呼ばれるワインです。1970年代ごろから、トスカーナの一部の造り手は、当時のキャンティの規定(白ブドウを混ぜることなど)にとらわれず、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種を使ったり、サンジョヴェーゼだけで造ったりした高品質なワインを生み出しました。規定に沿わないため格付けは低い扱いでしたが、品質の高さで世界的な評価を得て、こうしたワインが「スーパータスカン」と呼ばれるようになります。

この動きは、のちにキャンティ・クラシコの規定が見直され、白ブドウを使わない、サンジョヴェーゼ100%も認める、といった方向へ進むきっかけのひとつになったと言われています。キャンティとスーパータスカンを飲み比べてみると、トスカーナのワインの幅広さがよくわかります。

まとめ

キャンティはトスカーナ州のサンジョヴェーゼ主体の赤ワインで、黒い雄鶏マークのキャンティ・クラシコは、1716年に境界が定められた歴史的な中心地区で造られる別のDOCGです。サンジョヴェーゼの比率や熟成期間のルールが異なり、クラシコにはアンナータ、リゼルヴァ、グラン・セレツィオーネの3段階があります。酸味が料理を引き立てるので、トマトソースのパスタや肉料理と一緒に気軽に楽しんでみてください。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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