キタッラとは、イタリア中部アブルッツォ州の伝統的な卵入りロングパスタで、断面が四角いのが特徴です。「キタッラ(chitarra)」はイタリア語でギターのことで、木枠に金属の弦を張った専用の道具で生地を切り出すことから、この名前がつきました。正式には「スパゲッティ・アッラ・キタッラ」や「マッケローニ・アッラ・キタッラ」と呼ばれます。この記事では、キタッラの特徴や道具、定番の食べ方を紹介します。
キタッラの特徴
キタッラは、デュラム小麦のセモリナに卵を加えて練った生地を、薄くのばしてから細く切り分けて作ります。切り口の幅と生地の厚みがほぼ同じになるため、断面が2〜3mmほどの正方形に近い形になります。丸いスパゲッティと比べると角があるぶん表面がざらっとしていて、ソースがからみやすく、卵入りならではのしっかりとしたコシがあります。
アブルッツォ州の伝統的な農産加工品として登録されているパスタで、なかでも州北部のテーラモ県は、キタッラの料理で知られる土地です。
| 項目 | キタッラ | スパゲッティ |
|---|---|---|
| 断面 | 四角形 | 円形 |
| 生地 | セモリナと卵が一般的 | デュラム小麦のセモリナと水 |
| 作り方 | のばした生地を道具で切る | 型から押し出す |
| 食感 | 角のある歯ごたえ、ソースがからみやすい | なめらかでしなやか |
| 主な地域 | アブルッツォ州 | イタリア全土 |
道具「キタッラ」の仕組み
キタッラを作る道具は、ブナなどの木で作った長方形の枠に、細い鋼の弦を一定の間隔で何本も張ったものです。見た目がギターの弦に似ていることから「キタッラ」と呼ばれます。
- 卵入りの生地を、弦の間隔と同じくらいの厚みにのばします
- のばした生地を道具の弦の上にのせます
- 麺棒で上から押しながら転がすと、弦が生地を切り分け、細い麺が下の板に落ちます
- 最後に指で弦をはじくようにして、弦の間に残った麺を落とします
表と裏で弦の間隔が違い、太さの異なる麺を切り分けられるようになっている道具もあります。弦をはじく最後の動作は、まさにギターを弾くようなしぐさです。
キタッラの歴史
道具としてのキタッラがいつ生まれたのかは、はっきりわかっていません。それ以前のアブルッツォでは、溝を刻んだ木の麺棒で生地を四角い麺に切っていたといわれ、弦を張った道具はそこから発展したものと考えられています。19世紀には家庭の道具として広まり、嫁入り道具のひとつに数えられたとも伝えられています。
定番の食べ方
キタッラは、角のある断面と卵のコシを生かして、うまみのしっかりしたソースと合わせるのが定番です。
- パッロッティーネ(小さなミートボール)のソース:テーラモの名物として知られる組み合わせ。小指の先ほどの小さな肉団子を、トマトソースで煮込んでキタッラにからめます
- 肉のラグー:アブルッツォでは羊肉や豚肉などをトマトで煮込んだソースもよく合わせられます。煮込みソースについてはラグーソースの記事で紹介しています
- トマトソース:シンプルなソースでも、四角い麺のざらつきでしっかりからみます。基本の作り方はトマトソースパスタをどうぞ
トンナレッリ、トロッコリなど似たパスタ
四角い断面のロングパスタは、アブルッツォ以外の地域にも似たものがあります。
- トンナレッリ:ラツィオ州で使われる呼び名で、キタッラと同じような四角い麺です。ローマのカーチョ・エ・ペペ(ペコリーノと黒こしょうのパスタ)によく使われます
- トロッコリ:プーリア州などに伝わる、溝を刻んだ麺棒で切る四角い麺
- マッケローニ・クリオーリ:モリーゼ州などで見られる、断面がやや大きい四角い麺
名前は違っても、四角い断面とソースのからみの良さは共通しています。同じローマで親しまれる太めのロングパスタには、中心に穴の通ったブカティーニもあります。ロングパスタ全体の違いはパスタの種類の一覧にまとめています。
家庭で作る・ゆでるときのコツ
専用の道具が無い場合でも、生地をのばして包丁で同じ幅に切れば、キタッラに近い四角い麺が作れます。ポイントは、生地の厚みと切る幅をそろえることです。パスタマシンがあれば、細切りのカッターで代用する方法もあります。
乾燥タイプのキタッラも市販されていて、日本でもイタリア食材店などで見かけます。生麺はゆで時間が短く、乾燥麺は袋の表示に従いましょう。いずれも卵入りの麺は火が通りやすいので、ソースと合わせる時間を考えて早めに引き上げるのがコツです。ゆで方全般はパスタの茹で方の記事を参考にしてください。
まとめ
キタッラは、アブルッツォ州の伝統的な卵入りパスタで、弦を張った木枠の道具「キタッラ(ギター)」で生地を切り出すため、断面が四角くなります。角のある麺はソースがからみやすく、しっかりとしたコシがあります。テーラモの小さなミートボールのソースや肉のラグーなど、うまみのある濃いめのソースと合わせるのが定番です。ラツィオ州のトンナレッリなど似た麺もあるので、あわせて覚えておくとイタリア料理店のメニューを読むときにも役立ちます。



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