パッケリ(paccheri)とは、ナポリを州都とする南イタリアのカンパーニャ州で食べられてきた、太くて短い筒形のパスタです。指が入るほど大きな穴と厚みのある生地が特徴で、肉の煮込みソースや魚介のトマトソースとよく合わせられます。
パッケリの形と特徴
パッケリは、直径が2cm前後、長さが4〜5cmほどの大きな管状のパスタです。製品によって大きさに差がありますが、ショートパスタの中ではかなり大ぶりで、1本でひと口かそれ以上のボリュームがあります。表面がつるりとした「リッシ(lisci)」と、縦に溝の入った「リガーティ(rigati)」があり、ナポリでは表面がなめらかなものが一般的とされています。長さを半分ほどにした「メッツィ・パッケリ(mezzi paccheri)」もあります。
ゆでると筒がやわらかくつぶれ、平たく重なったような姿になります。生地に厚みがあるので、むちっとした弾力のある食感が楽しめます。筒の内側にもソースが入りこみ、ひと口ごとにパスタとソースを一緒に味わえるのがこのパスタのよさです。
名前の由来とナポリのパスタ文化
「パッケリ」という名前は、ナポリの言葉で平手打ちを意味する語に由来するといわれます。大きなパスタを口に運ぶとソースが頬に跳ねる様子や、食べるときに音がすることから名付けられたなど、説明にはいくつかのバリエーションがあり、はっきりした起源はわかっていません。
カンパーニャ州は、イタリアの中でも乾燥パスタづくりの伝統が長い土地です。ナポリ近郊のグラニャーノは、古くから乾燥パスタの町として知られ、現在も多くのパスタ工房があります。山からの風と海の湿気がパスタを干すのに向いていたといわれ、パッケリもこの地域の工房でよく作られています。パスタ全体の成り立ちについてはパスタの歴史で紹介しています。
似たパスタとの違い
筒形のショートパスタはたくさんあり、見た目が似ているものもあります。大きさと表面の違いで見分けると整理しやすくなります。
| パスタ | 形 | 向くソース |
|---|---|---|
| パッケリ | 太く短い筒。表面はなめらかなものが多い | 煮込み、魚介のトマトソース、詰め物 |
| リガトーニ | パッケリより細めの筒で、縦の溝がある | 肉のソース、グラタン |
| ペンネ | 両端を斜めに切った細めの筒 | トマトソース、アラビアータ、クリーム |
| カラマーリ | いかの輪切りのような太い輪 | 魚介のソース |
| ブカティーニ | 中心に細い穴の開いたロングパスタ | アマトリチャーナなどトマトと豚肉のソース |
穴のあいたロングパスタについてはブカティーニの記事でくわしく紹介しています。
パッケリに合うソースと料理
パッケリは生地に厚みがあり、存在感の強いパスタです。軽すぎるソースだとパスタの味が勝ってしまうので、うまみのしっかりしたソースと合わせると釣り合いがとれます。
肉の煮込みソース
ナポリには、牛肉や豚肉の塊をトマトとともに長時間煮込む「ラグー・ナポレターノ」があります。煮込んだソースでパスタをあえ、肉はメインの皿として食べる、という食べ方が伝えられています。パッケリやジーティなど太めのパスタがよく合わされます。ラグーの種類やボロネーゼとの違いはラグーソースの記事を参照してください。
魚介のトマトソース
海に面したカンパーニャらしく、いか、えび、あさりなどの魚介をトマトと合わせたソースもパッケリの定番です。魚介のうまみが溶けたトマトソースが筒の中に入り、具とパスタが同じくらいの大きさになるので食べやすくなります。あさりを使う場合は、下ごしらえとしてあさりの塩抜きをしておきます。
詰め物をしてオーブンで焼く
大きな穴を生かして、ゆでたパッケリにリコッタチーズやひき肉のフィリングを詰め、ソースとチーズをかけてオーブンで焼く料理もあります。表面がこんがり焼け、パーティーなど人が集まる日の一皿にも向いています。
ゆで方とあえ方のコツ
パッケリは生地が厚いので、ゆで時間が長めです。製品によって違いますが、10分を超えるものが多く、袋の表示を確認してゆでます。大きな筒どうしがくっつきやすいので、湯はたっぷり使い、入れてすぐと途中で何度か混ぜます。
- ソースと一緒に煮からめる場合は、表示時間より1〜2分早く上げ、フライパンで仕上げる
- ゆで汁を少しとっておき、ソースが煮詰まったら加えて濃度をととのえる
- 筒がつぶれて重なりやすいので、あえるときはへらで大きく返すように混ぜる
- 詰め物にする場合は、かためにゆでて冷まし、形が崩れないうちに詰める
ゆでる湯の量や塩の目安はパスタのゆで方にまとめています。
まとめ
パッケリは、カンパーニャ州で食べられてきた太く短い筒形のパスタです。厚みのある生地のむちっとした食感と、筒の中に入りこむソースが特徴で、肉の煮込みや魚介のトマトソースと好相性です。ゆで時間は長めなので表示を確かめ、くっつかないようにたっぷりの湯で混ぜながらゆでてください。ほかのパスタの形はパスタの種類一覧で紹介しています。



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