アイスワインとは、冬に樹の上で自然に凍ったブドウを、凍ったまま搾って造る甘口のワインです。水分が氷となって残るため、糖分と酸がぎゅっと凝縮した果汁だけがとれ、澄んだ甘さといきいきした酸味をあわせ持つワインになります。主な産地はカナダとドイツで、ドイツ語では「アイスヴァイン(Eiswein)」と呼ばれます。
アイスワインの造り方
アイスワイン造りは、収穫を冬まで待つところから始まります。通常の収穫期を過ぎてもブドウを樹に残しておき、気温が十分に下がって果実がかちかちに凍る日を待ちます。
- 秋の収穫期を過ぎてもブドウを樹に残し、鳥や獣から守るためにネットをかけておく
- 真冬に気温が一定以下まで下がり、果実が自然に凍った日に収穫する。気温が上がる前に作業を終える必要があるため、夜間から早朝に摘み取ることが多い
- 凍ったまま、屋外や寒い場所で圧搾する。果実の水分は氷として残り、糖分や酸の濃い果汁だけが少しずつ流れ出る
- 糖度が非常に高い果汁を、時間をかけてゆっくり発酵させる
凍ったブドウから搾れる果汁はほんのわずかで、通常のワインに比べて一房から得られる量がとても少なくなります。さらに、凍結を待つ間に鳥や病気、天候の影響でブドウが失われることもあり、気温が下がらない暖冬の年には造れないこともあります。こうした理由から、アイスワインは375mlや200mlほどの小さなボトルで売られることが多く、高価なワインの部類に入ります。
収穫の条件と決まり
アイスワインの本場では、名乗るための条件が法律で決められています。主な産地の決まりを表にまとめます。
| 国 | 呼び名 | 主な条件 |
|---|---|---|
| カナダ | Icewine(アイスワイン) | ブドウは樹上で自然に凍らせること。収穫・圧搾は−8℃以下。果汁の糖度にも下限がある |
| ドイツ | Eiswein(アイスヴァイン) | −7℃以下で凍ったブドウを収穫・圧搾。果汁の糖度(エクスレ度)にも下限がある |
| オーストリア | Eiswein(アイスヴァイン) | 樹上で自然に凍ったブドウを使い、果汁の糖度に下限がある |
これらの国では、ブドウを人工的に冷凍して搾る方法ではアイスワインを名乗れません。人工的に凍らせて造る甘口ワインも世界にはありますが、本来のアイスワインとは区別されます。
主な産地
カナダ
カナダは、世界でも有数のアイスワインの産地です。冬の寒さが確実にやってくるため毎年安定して造ることができ、オンタリオ州のナイアガラ半島や、ブリティッシュ・コロンビア州のオカナガン・ヴァレーが主な産地です。1991年、オンタリオ州のイニスキリン社の1989年ヴィンテージのヴィダル・アイスワインが、フランス・ボルドーの国際見本市ヴィネクスポで最高賞を受け、カナダのアイスワインが世界に知られるきっかけになりました。
カナダでよく使われるのは、寒さに強い交配品種のヴィダルと、リースリングです。カベルネ・フランから造る赤のアイスワインもあり、イチゴやルバーブのような香りが特徴です。
ドイツ
ドイツはアイスヴァインの発祥地とされ、モーゼルやラインガウなど各地で造られています。ドイツワインの等級のうち、ブドウの熟度で決まる肩書きのひとつに位置づけられており、リースリングから造られるものが多いです。リースリングの高い酸が甘さを引き締め、長く熟成させることもできます。品種についてはリースリングの記事を参照してください。
ただし、ドイツでは冬の冷え込みが年によって足りず、アイスヴァインを造れない年も増えています。そのため生産量は年によって大きく変わります。
そのほかの産地
オーストリアでも同じようにアイスヴァインが造られています。アメリカのニューヨーク州やミシガン州など、冬の寒さが厳しい産地にも造り手がいます。
アイスワインの味わい
アイスワインの魅力は、強い甘さと、それに負けないくっきりした酸のバランスです。白のアイスワインは、パイナップル、マンゴー、白桃、アプリコット、はちみつ、柑橘のような香りがします。
同じ極甘口の貴腐ワインと比べると、貴腐ワインは貴腐菌に由来するはちみつやマーマレード、樽熟成による厚みを感じさせるものが多いのに対し、アイスワインは果実そのもののフレッシュさと、透明感のある甘さが前面に出る傾向があります。どちらも糖分を凝縮させる方法の違いで、甘口ワインの種類についてはデザートワインの記事で比較しています。
楽しみ方と合う料理
アイスワインは、6〜10℃前後によく冷やすと、甘さが引き締まりバランスよく感じられます。とても濃厚なので、小ぶりのグラスに少量ずつ注ぎ、食後にゆっくり味わうのがおすすめです。
- フルーツタルト、チーズケーキ、パンナコッタなどのデザート
- フルーツそのもの。桃やマンゴー、洋梨など
- ブルーチーズや、熟成したハードチーズ
- フォアグラのテリーヌ
デザートと合わせるときは、ワインよりも甘すぎないものを選ぶと、ワインの酸と香りがきれいに感じられます。開栓後は栓をして冷蔵庫で保存すれば、数日から1週間ほど楽しめるものが多いです。小さめのボトルと華やかな印象から、贈り物として選ばれることもあります。
アイスワインの選び方
アイスワインを選ぶときは、まず品種に注目すると味わいの違いが分かりやすくなります。ヴィダルは、トロピカルフルーツやはちみつのような濃厚な甘さが前に出るタイプ。リースリングは、柑橘や青りんごの香りと鋭い酸が甘さを引き締める、すっきりしたタイプになりやすい品種です。カベルネ・フランなどの黒ブドウから造る赤のアイスワインは、ベリー系の香りが華やかで、贈り物にも喜ばれます。
カナダのアイスワインは、品質基準を満たしたものにVQAの表示があるのが目印です。また、アイスワインに似た名前で、ブドウを人工的に凍らせた甘口ワインや、アイスワインを少量加えた飲料などが売られていることもあります。本格的なアイスワインを探すときは、産地や表示を確かめて選ぶと安心です。
まとめ
アイスワインは、樹上で自然に凍ったブドウを凍ったまま搾り、凝縮した果汁から造る甘口ワインです。カナダでは−8℃以下、ドイツでは−7℃以下での収穫が決められており、人工的に凍らせたものは名乗れません。カナダのヴィダルやリースリング、ドイツのリースリングが代表的で、澄んだ甘さと酸のバランスが魅力です。食後のデザートやフルーツとともに、少量ずつ楽しんでみてください。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。



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