シャトー・オー・ブリオン(Château Haut-Brion)とは、フランス・ボルドー地方の南西、グラーヴ地区のペサック・レオニャンにあるシャトーです。1855年のボルドー格付けでは、メドック地区のシャトーばかりが並ぶ中、唯一メドックの外から第1級に選ばれました。17世紀にはすでにイギリスで名前が知られていた、ボルドーでも特に古い歴史を持つ銘醸ワインです。
シャトー・オー・ブリオンの基本
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | フランス・ボルドー、グラーヴ地区ペサック(アペラシオンはペサック・レオニャン) |
| 格付け | 1855年格付け 第1級(メドック以外では唯一) |
| 主なワイン | 赤のグラン・ヴァン、白のオー・ブリオン・ブラン |
| セカンドワイン | ル・クラランス・ド・オー・ブリオン(2007年ヴィンテージから現在の名前) |
| 所有 | ドメーヌ・クラランス・ディロン(1935年からディロン家) |
ペサックはボルドーの市街地に隣接する町で、オー・ブリオンの畑は住宅地に囲まれるようにして残っています。都市の中にある第1級の畑という点も、このシャトーの独特なところです。
17世紀から知られた名前
オー・ブリオンの名前は、ボルドーのシャトー名をつけたワインとして、とても早い時期から知られていました。よく紹介されるのが、17世紀イギリスの官僚サミュエル・ピープスの日記です。ピープスは1663年4月10日、ロンドンの酒場で「オー・ブライアン(Ho Bryen)」というフランスワインを飲み、ほかで出会ったことのない独特の良い味がしたと書き残しています。
当時のワインは、産地の地方名で売られるのがふつうでした。その中で、特定の土地と造り手の名前で評価されたオー・ブリオンは、のちの「シャトー」という考え方の先がけのような存在として語られます。ボルドーワインの歴史全体についてはボルドーワインの記事にまとめています。
1855年の格付けとディロン家
1855年、パリ万国博覧会に合わせてボルドーの赤ワインの格付けが作られました。対象はほぼメドック地区のシャトーでしたが、オー・ブリオンだけはその名声から特別に加えられ、ラフィット、ラトゥール、マルゴーとともに第1級に選ばれています。のちに1973年、ムートン・ロートシルトが第1級に昇格し、現在の「五大シャトー」がそろいました(五大シャトーの記事)。
20世紀に入り、1935年にアメリカの銀行家クラランス・ディロンがオー・ブリオンを買い取ります。以来、シャトーはディロン家のもとで受け継がれ、現在はドメーヌ・クラランス・ディロンという会社が運営しています。ディロン家は、すぐ近くにある名門シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンも所有しています。
オー・ブリオンの味わい
オー・ブリオンの赤は、メルロとカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、カベルネ・フランなどを加えて造られます。メドックの第1級と比べると、香りに独特の土っぽさや、たばこ、焼いた石、スモークのようなニュアンスがあると言われ、なめらかでしなやかな口当たりが特徴です。グラーヴ(砂利の意味)という地名のとおり、砂利の多い土壌がその個性を支えていると説明されます。
力強さを前面に出すというより、香りの複雑さと上品さで魅せるタイプのワインとして語られることが多く、熟成によってさらに深みを増していきます。品種の特徴はメルロやカベルネ・ソーヴィニヨンの記事も参考にしてください。
白ワインとセカンドワイン
オー・ブリオンは、赤だけでなく白ワインも造っています。「オー・ブリオン・ブラン」は、セミヨンとソーヴィニヨン・ブランから造られる辛口の白で、生産量がとても少なく、ボルドーの辛口白の最高峰のひとつに数えられています。
| ワイン | 特徴 |
|---|---|
| シャトー・オー・ブリオン(赤) | グラン・ヴァン。複雑な香りとしなやかさ |
| オー・ブリオン・ブラン(白) | セミヨンとソーヴィニヨン・ブランの辛口。生産量が少ない |
| ル・クラランス・ド・オー・ブリオン(赤) | セカンドワイン。以前は「シャトー・バーン・オー・ブリオン」という名前で、2007年ヴィンテージから改名 |
ル・クラランス・ド・オー・ブリオンの名前は、シャトーを買い取ったクラランス・ディロンにちなんだものです。グラン・ヴァンより手に届きやすく、オー・ブリオンのスタイルを知る入り口として選ばれています。
選び方と楽しみ方
オー・ブリオンは非常に高価なワインなので、記念日や贈り物のための特別な一本として選ばれることが多いでしょう。
- はじめてなら、セカンドワインのル・クラランス・ド・オー・ブリオンから
- グラン・ヴァンは熟成によって魅力が増すため、ヴィンテージと保管状態を確認する
- 贈り物には、相手の生まれ年や記念の年のヴィンテージを選ぶ方法もある(ワインギフトの記事)
料理は、牛肉のローストや鴨、ジビエなど、うまみのある肉料理と合わせるのが定番です。白のオー・ブリオン・ブランは、オマール海老や白身魚のクリームソースなど、贅沢な魚介料理と好相性です。
まとめ
シャトー・オー・ブリオンは、ボルドー南部ペサック・レオニャンにある第1級シャトーで、1855年の格付けでメドック以外から唯一選ばれました。1663年のピープスの日記にも登場する古い歴史を持ち、1935年からはディロン家が所有しています。土やたばこを思わせる複雑な香りの赤に加え、希少な白のオー・ブリオン・ブラン、セカンドのル・クラランスも造っています。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。



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