ボルドーワインとは、フランス南西部のボルドー市周辺で造られるワインのことで、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなど複数のブドウをブレンドした、骨格のしっかりした赤ワインで知られています。辛口の白ワインや、ソーテルヌに代表される極甘口の貴腐ワインも造られます。「シャトー」と呼ばれる生産者ごとにワインが造られ、1855年の格付けをはじめとする独自の格付けがあるのも特徴です。
ボルドーワインの基本
ボルドーは、大西洋に近いジロンド県に広がる、フランスでも有数の大きなワイン産地です。南から流れてくるガロンヌ川と、東から流れてくるドルドーニュ川が合流してジロンド川となり、大西洋へ注いでいます。この川と海の影響で、比較的穏やかな海洋性気候に恵まれています。
ボルドーワインの最大の特徴は、複数の品種をブレンドすることです。品種ごとに長所と短所があり、それを組み合わせることで、毎年の天候の違いを補いながら、バランスのよいワインを造ってきました。単一品種で畑の個性を表現するブルゴーニュとは、考え方が対照的です。
また、ボルドーでは生産者を「シャトー(城)」と呼ぶのが一般的です。実際に城館を持つところもあれば、そうでないところもありますが、自社の畑のブドウからワインを造り、シャトーの名前で販売するのが基本のスタイルです。
主なブドウ品種
| 品種 | 色 | 役割・特徴 |
|---|---|---|
| カベルネ・ソーヴィニヨン | 赤 | カシスの香りと力強い渋み。左岸の主役で、長期熟成の骨格になる |
| メルロー | 赤 | プラムの香りとまろやかさ。ボルドーで最も多く栽培され、右岸の主役 |
| カベルネ・フラン | 赤 | 香りの華やかさと爽やかさを加える。右岸で重要 |
| プティ・ヴェルド、マルベック、カルメネール | 赤 | 色や香り、スパイス感を補う。使われる量は少ない |
| ソーヴィニヨン・ブラン | 白 | 爽やかな酸とハーブの香り |
| セミヨン | 白 | ふくよかさを与える。貴腐ワインの主役 |
気候変動への対応として、2021年にはトゥーリガ・ナシオナルやマルスランなど6つの新しい品種が、AOCボルドーとボルドー・シュペリュールで、植える面積やブレンドの割合を限ったうえで認められました。各品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローの記事で詳しく紹介しています。
左岸と右岸
ボルドーの赤ワインを理解するうえで欠かせないのが、「左岸」と「右岸」という分け方です。川の流れる方向に向かって左側(西側)が左岸、右側(東側)が右岸です。
左岸(メドック、グラーヴ)
ジロンド川とガロンヌ川の左岸には、メドック地区とグラーヴ地区があります。水はけのよい砂利質の土壌が多く、熟すのが遅いカベルネ・ソーヴィニヨンもよく熟します。そのため、カベルネ・ソーヴィニヨン主体の、渋みのしっかりした長命な赤ワインが中心です。メドックにはマルゴー、サン・ジュリアン、ポイヤック、サン・テステフといった有名な村が並びます。詳しくはメドックの記事をどうぞ。グラーヴ地区の北部、ボルドー市に近いペサック・レオニャンは、赤だけでなく上質な辛口白でも知られます。
右岸(サンテミリオン、ポムロール)
ドルドーニュ川の右岸には、サンテミリオンやポムロールがあります。粘土や石灰質の土壌が多く、メルローとカベルネ・フランが中心です。左岸に比べて果実味が豊かでまろやかなワインが多く、若いうちから親しみやすいのが特徴です。ポムロールには、世界で最も高価なワインのひとつペトリュスがあります。
アントル・ドゥー・メールとソーテルヌ
2つの川にはさまれた地域はアントル・ドゥー・メール(2つの海のあいだ)と呼ばれ、爽やかな辛口白ワインで知られます。南のソーテルヌやバルサックは、貴腐ブドウから造る極甘口の白ワインの名産地です。
ボルドーの格付け
ボルドーには地区ごとに異なる格付けがあります。代表的なものを整理します。
| 格付け | 対象 | 概要 |
|---|---|---|
| 1855年の格付け | メドック(とグラーヴのオー・ブリオン)の赤、ソーテルヌ・バルサックの甘口白 | パリ万国博覧会の際に作られた。赤は1級から5級まで |
| グラーヴの格付け | グラーヴの赤・白 | 1950年代に制定。等級はなく「格付けシャトー」のみ |
| サンテミリオンの格付け | サンテミリオンの赤 | 1955年に制定され、ほぼ10年ごとに見直される |
| クリュ・ブルジョワ | メドックの赤 | 1855年の格付けに入らないシャトーが対象。5年ごとに見直し |
1855年の格付けの1級にあたる5つのシャトーは「五大シャトー」と呼ばれ、ボルドーの頂点として知られています。詳しくは五大シャトーの記事で紹介しています。サンテミリオンの格付けは、2022年の見直しでは、それまで最上位にあったシュヴァル・ブランやオーゾンヌ、アンジェリュスが参加を取りやめるなど、話題になりました。なお、ポムロールには公式の格付けがありません。
ボルドーの歴史
ボルドーのワインがイギリスで愛されるようになったきっかけは、12世紀にさかのぼります。1152年、アキテーヌ公領の女相続人アリエノールが、のちにイングランド王ヘンリー2世となるアンジュー伯アンリと結婚し、ボルドーを含む地域がイングランド王の領地となりました。以後約300年にわたり、ボルドーのワインは大量にイギリスへ運ばれ、淡い色の赤ワインは「クラレット」と呼ばれて親しまれました。この呼び名は、いまもイギリスでボルドーの赤ワインを指す言葉として使われています。
17世紀には、オランダ人の技術によってメドックの湿地の排水が進み、ブドウ畑が広がりました。その後、シャトーごとの名声が高まり、1855年の格付けへとつながっていきます。ワインの歴史全体についてはワインの歴史もあわせてどうぞ。
選び方と楽しみ方
ボルドーワインは、手ごろな日常のワインから、何十年も熟成させる高級ワインまで幅広くそろっています。
- はじめてなら: 「Bordeaux」「Bordeaux Supérieur」と書かれた手ごろな赤。メルロー主体のものはまろやか
- しっかりした赤が好きなら: メドックやオー・メドックのカベルネ・ソーヴィニヨン主体のもの
- まろやかな赤が好きなら: サンテミリオンなど右岸のメルロー主体のもの
- 白なら: アントル・ドゥー・メールの辛口、ペサック・レオニャンの上質な辛口
- デザートには: ソーテルヌの貴腐ワイン
赤は16〜18度くらいが飲み頃の温度の目安です。若くて渋みが強いものは、デキャンタに移したり、早めに抜栓したりすると、まろやかになります。牛肉や子羊のロースト、ステーキ、ビーフシチューなど、しっかりした肉料理と合わせるのが定番です。
まとめ
ボルドーワインは、フランス南西部のボルドーで、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどをブレンドして造られるワインです。カベルネ主体の左岸、メルロー主体の右岸で性格が分かれ、1855年の格付けをはじめ地区ごとの格付けがあります。手ごろなボルドーから五大シャトーまで、幅広い価格帯でそろうので、好みのスタイルを見つけて楽しんでみてください。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。



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