シャトー・ペトリュスとはどんなワイン?ポムロールの伝説的な赤

シャトー・ペトリュスとはどんなワイン?ポムロールの伝説的な赤 ワイン

ペトリュス(Petrus)とは、フランス・ボルドー地方の右岸、ポムロール地区で造られる赤ワインです。日本では「シャトー・ペトリュス」とも呼ばれます。ポムロールには公式の格付けがありませんが、ペトリュスはこの地区の最高峰と広く認められ、世界で最も高価なワインのひとつとして知られています。約11ヘクタールの小さな畑で、ほぼメルロだけから造られるのが特徴です。

ペトリュスの基本

項目 内容
所在地 フランス・ボルドー右岸、ポムロール
格付け なし(ポムロールには公式の格付けがない)
畑の面積 約11.4ヘクタール
品種 メルロ100%(2010年の終わりから)
生産量 年に約3万本
所有者 ジャン・フランソワ・ムエックス氏とその子どもたち

ボルドーの格付けというとメドックの1855年格付けがよく知られていますが、ポムロールはこれまで一度も格付けを作っていません。ペトリュスの評価は、格付けではなく、ワインそのものの品質と長年の名声によって築かれてきたものです。ボルドー全体の仕組みはボルドーワインの記事にまとめています。

青い粘土とメルロ

ペトリュスの個性を語るときに必ず出てくるのが、畑の土です。ポムロールの台地の高いところにあるペトリュスの畑には、「青い粘土」と呼ばれる珍しい粘土質の土壌が広がっています。この粘土は水分をゆっくりと保ち、乾燥した年にもブドウの木に水を届け、雨の多い年には水を通しにくいため、ブドウが安定して育つと説明されます。

この冷たく重い粘土質の土に合うのが、メルロというブドウです。左岸のメドックではカベルネ・ソーヴィニヨンが主役ですが、右岸のポムロールではメルロが中心になります。ペトリュスでは、2010年の終わり以降、メルロ100%で造られています。品種の特徴はメルロの記事を参考にしてください。

ペトリュスの歴史

ペトリュスの土地は、18世紀末からアルノー家が所有していました。20世紀に入ると、リブルヌの町でホテルを営んでいたルバ夫人(エドモン・ルバ夫人)が少しずつ権利を買い集め、所有者となります。ルバ夫人はワインの品質にこだわり、ペトリュスの名声を高めたことで知られています。1947年には、のちのエリザベス女王の結婚を祝って、ロンドン市長にペトリュスのマグナムを贈ったという話も伝えられています。

1945年からは、リブルヌのネゴシアン(ワイン商)だったジャン・ピエール・ムエックス氏が、ペトリュスの独占販売権を得て、世界にその名を広めていきました。その後、ムエックス家が所有権も得て、1969年には長男のジャン・フランソワ・ムエックス氏が残りの持ち分を取得しています。現在のペトリュスは、ジャン・フランソワ氏とその子どもたちが所有しています。

名前とラベル

「ペトリュス」はラテン語で「ペテロ」のことで、キリスト教の聖人・聖ペテロに由来します。ラベルには、天国の鍵を持つ聖ペテロの姿が描かれています。

日本では「シャトー・ペトリュス」と呼ばれることも多いのですが、現在のラベルには「シャトー」の文字はなく、「PETRUS」とだけ大きく記されています。お店や本で両方の呼び方を見かけるのはこのためです。

ペトリュスの味わい

ペトリュスは、メルロらしいふくよかさと、驚くほどの密度を併せ持つ赤ワインとして語られます。プラムやブラックチェリーのような熟した果実、トリュフや土、スパイスを思わせる香りがあり、タンニンはきめ細かく、口当たりはなめらかです。若いうちから豊かな果実味を感じられる一方、良年のものは長い熟成によってさらに複雑な姿を見せると言われています。

ブドウは手で摘み取り、オーク樽でおよそ12〜16か月熟成させてから瓶詰めされます。小さな畑から生まれる生産量の少なさも、ペトリュスの希少性と価格を押し上げる理由になっています。

入手と楽しみ方

ペトリュスは、ボルドーの第1級シャトーをも上回る価格で取引されることが多い、非常に高価なワインです。手に入れる機会があるなら、次の点に気をつけましょう。

  • 高額なワインほど偽物の心配があるため、来歴がはっきりした信頼できる販売店で購入する
  • 保管状態が品質を大きく左右するので、温度と湿度が管理されていたかを確認する(ワインの保存方法)
  • ヴィンテージによって評価が大きく異なるため、年ごとの評判も参考にする

開けるときは、澱があることを考えてボトルを立てて休ませ、必要に応じてデキャンタを使います。料理は、牛肉や鴨のロースト、トリュフを使った料理など、香りと旨みの豊かな皿がよく合います。世界の高級ワインについては高級ワインの記事もどうぞ。

まとめ

ペトリュスは、ボルドー右岸ポムロールの赤ワインで、格付けのない産地にありながら世界屈指の高値で取引される存在です。約11.4ヘクタールの畑の青い粘土と、メルロ100%という組み合わせが個性を生み、ルバ夫人とムエックス家のもとで名声を築いてきました。ラベルの聖ペテロとともに、ボルドーの伝説的なワインとして知っておきたい一本です。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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