カベルネ・フランとは、フランスのボルドー地方やロワール地方で古くから栽培されている黒ブドウの品種です。ラズベリーやスミレのような香りと、ピーマンや青草を思わせる爽やかな香りを持ち、渋みはカベルネ・ソーヴィニヨンより穏やかで、しなやかな赤ワインになります。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローの親にあたる品種としても知られます。
カベルネ・フランの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 色 | 黒ブドウ |
| 主な産地 | フランス(ボルドー右岸、ロワール)、イタリア北東部、ハンガリー、アメリカ、カナダ、アルゼンチン、日本など |
| 子にあたる品種 | カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カルメネールなど |
| 香りの傾向 | ラズベリー、カシス、スミレ、ピーマン、青草、鉛筆の芯、スパイス |
| 味わいの傾向 | 中程度の色合いと渋み。酸がいきいきとして、ミディアムボディのものが多い |
DNA解析により、カベルネ・フランはソーヴィニヨン・ブランとの交配でカベルネ・ソーヴィニヨンを、別の古い品種との交配でメルローを生んだことが分かっています。チリで知られるカルメネールも、カベルネ・フランの子にあたる品種です。ボルドーの主要品種の多くが、カベルネ・フランを起点につながっているといえます。
カベルネ・ソーヴィニヨンとの違い
名前が似ているカベルネ・ソーヴィニヨンとは親子の関係ですが、ブドウとしての性格はかなり異なります。
| 項目 | カベルネ・フラン | カベルネ・ソーヴィニヨン |
|---|---|---|
| 熟す時期 | 比較的早い | 遅い |
| 果皮 | やや薄め | 厚い |
| 色と渋み | 中程度でしなやか | 濃く、渋みしっかり |
| 香り | 赤い果実、スミレ、ピーマン | 黒い果実、杉、ミント |
| 向いている気候 | やや冷涼な土地でも熟しやすい | 暖かく生育期間の長い土地 |
熟すのが比較的早いため、カベルネ・ソーヴィニヨンが完熟しにくい冷涼な土地でも栽培しやすいのが、カベルネ・フランの強みです。詳しくはカベルネ・ソーヴィニヨンの記事も参照してください。
主な産地
フランス・ロワール地方
カベルネ・フランが主役になる代表的な産地が、ロワール川中流のトゥーレーヌ地区やアンジュー・ソミュール地区です。シノン、ブルグイユ、ソミュール・シャンピニーなどで、カベルネ・フランを主体にした赤ワインが造られています。ロワールでは「ブルトン」とも呼ばれてきました。
ロワールのカベルネ・フランは、ラズベリーやスミレの香りと爽やかな酸を持つ、軽やかからミディアムボディの赤ワインが多く、少し冷やして楽しむこともできます。造り手や畑によっては、しっかりとした骨格を持ち熟成に向くものもあります。ロワール地方では、ロゼワインの原料としても使われます。
フランス・ボルドー右岸
ボルドーでは、主にメルローやカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドする補助品種として使われ、ワインに香りの華やかさと骨格を加えます。特にジロンド川右岸のサン・テミリオン地区では重要な品種で、名門シャトー・シュヴァル・ブランは、カベルネ・フランを多く使うことで知られます。ボルドーについてはボルドーワインの記事にまとめています。
そのほかの産地
イタリア北東部のフリウリ地方やヴェネト州、ハンガリーのヴィラーニ地方などでも栽培されています。アメリカのニューヨーク州やバージニア州、アルゼンチンなどでも評価が高まっており、カナダではカベルネ・フランから赤のアイスワインも造られています。日本でも、山梨県や長野県などで栽培されています。
味わいと合う料理
カベルネ・フランのワインは、赤い果実の香りに加えて、ピーマンやハーブのような青みのある香りを持つのが特徴です。この香りはピラジンという成分によるもので、野菜やハーブを使った料理と自然になじみます。
- ピーマンの肉詰め、ラタトゥイユなど夏野菜を使った料理
- 豚肉や鶏肉のグリル、ハーブを効かせたロースト
- パテやリエット、シャルキュトリー
- 山羊乳のチーズ(ロワール地方の名産)
- 和食なら、焼き鳥(塩・たれ)、豚の生姜焼き、青椒肉絲など
飲み頃の温度は、軽やかなロワールのタイプなら14〜16℃前後とやや低め、しっかりしたタイプなら16〜18℃前後が目安です。
選び方のポイント
カベルネ・フランの個性を知るなら、まずはロワール地方のシノンやソミュール・シャンピニーなど、カベルネ・フランが主体の赤ワインを選ぶのがおすすめです。ボルドーの右岸のワインを飲むときには、メルローの中にカベルネ・フランの香りが加わっていることを意識すると、ブレンドの妙を感じられるでしょう。メルローについてはメルローの記事を、軽めの赤ワインの考え方はワインのボディの記事を参考にしてください。
まとめ
カベルネ・フランは、ボルドーやロワールで古くから栽培されている黒ブドウで、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローの親にあたる品種です。ラズベリーやスミレ、ピーマンのような香りと、しなやかな渋み、いきいきした酸が特徴で、ロワールでは主役として、ボルドーではブレンドの名脇役として活躍しています。野菜やハーブを使った料理、豚肉や鶏肉の料理と合わせて楽しんでみてください。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。



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