シャトー・ラトゥールとは?ボルドー五大シャトーの歴史と特徴

シャトー・ラトゥールとは?ボルドー五大シャトーの歴史と特徴 ワイン

シャトー・ラトゥール(Château Latour)とは、フランス・ボルドー地方メドック地区のポイヤック村にある、1855年の格付けで第1級に選ばれたシャトーです。いわゆる「五大シャトー」のひとつで、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体にした、力強く長命な赤ワインで知られています。名前の「ラトゥール」はフランス語で「塔」を意味し、畑に立つ円い塔がシャトーの象徴になっています。

シャトー・ラトゥールの基本データ

項目 内容
所在地 フランス・ボルドー、メドック地区ポイヤック村(村の南東端、ジロンド川の近く)
格付け 1855年メドック格付け 第1級
畑の面積 約78ヘクタール(うち中心の「ランクロ」は約47ヘクタール)
主な品種 カベルネ・ソーヴィニヨン約8割、メルロ約2割、ほかにカベルネ・フランとプティ・ヴェルドを少し
セカンドワイン レ・フォール・ド・ラトゥール(1966年から)
サードワイン ポイヤック・ド・ラトゥール(1989年から)
所有者 フランソワ・ピノー氏の持株会社アルテミス(1993年から)

五大シャトー全体については五大シャトーの記事に、メドック地区についてはメドックの記事にまとめています。

塔の名を持つシャトーの歴史

ラトゥールの土地の歴史は中世にさかのぼります。英仏の百年戦争の時代、ジロンド川沿いの守りのために塔が築かれたのが名前の由来です。当時のボルドーはイングランドの支配下にあり、1453年に戦争が終わるころ、もとの砦は失われました。現在畑の中に立つ円い塔は、1620年代に建てられたもので、ラベルにも描かれています。

17世紀から18世紀にかけては、名門セギュール家がこの土地をまとめ、ラトゥールのワインはイギリスへの輸出で名声を高めていきました。セギュール家はラフィットやカロン・セギュールも所有していたことで知られます。

20世紀に入ると、1963年に株の多くがイギリス資本に渡り、ステンレスタンクの導入など設備の近代化が進みました。その後、1989年に別のイギリス企業の手に渡り、1993年にフランスの実業家フランソワ・ピノー氏が買い取って、ふたたびフランス資本のシャトーになっています。

ラトゥールの味わいと畑

ラトゥールは、五大シャトーの中でもとくに骨格がしっかりして力強く、長い熟成を経て真価を発揮するワインとして語られてきました。カシスやブラックベリーのような黒い果実、杉や鉛筆の削りかすを思わせる香り、そして密度の高いタンニンが特徴で、若いうちは硬く閉じていることが多いワインです。

この個性を支えているのが、ジロンド川を見下ろす砂利質の畑です。シャトーを囲む中心の畑「ランクロ」(囲われた畑の意味)は約47ヘクタールあり、グラン・ヴァン(シャトーの名を冠する最上のワイン)は主にここのブドウから造られます。川に近いことで霜の害を受けにくいとも説明されます。

また、ラトゥールは畑の有機栽培への転換を進め、2015年ヴィンテージからランクロ全体が有機栽培となり、2018年には畑の有機認証を取得しています。主役の品種についてはカベルネ・ソーヴィニヨンの記事も参考にしてください。

セカンドワインとサードワイン

ラトゥールは、グラン・ヴァンのほかに2つのワインを造っています。

ワイン 特徴
シャトー・ラトゥール グラン・ヴァン。ランクロのブドウが中心で、長期熟成型
レ・フォール・ド・ラトゥール セカンドワイン。1966年から。ランクロの外の区画や若い樹のブドウなどから造られ、グラン・ヴァンより早くから楽しめる
ポイヤック・ド・ラトゥール サードワイン。1989年から。より気軽にラトゥールの雰囲気に触れられる

レ・フォール・ド・ラトゥールは、セカンドワインとしては評価が高く、それ自体が格付けシャトーに匹敵すると言われることもあります。

プリムール(先物販売)からの撤退

ボルドーの有名シャトーの多くは、収穫の翌年の春に、まだ樽で熟成中のワインを先物として販売する「プリムール(アン・プリムール)」という仕組みを使っています。ラトゥールは2012年にこの仕組みから離れることを発表し、2011年ヴィンテージを最後に、プリムールでの販売をやめました。

現在のラトゥールは、シャトー自らのセラーでワインを熟成させ、飲み頃に近づいたと判断した時点で市場に出す方針をとっています。そのため、市場に出てくるのは一般的なボルドーより何年も後になります。保管状態の確かなワインを届けたい、という考えによるものと説明されています。

選び方と楽しみ方

ラトゥールは非常に高価なワインで、多くの人にとっては特別な日のための一本です。選ぶときは、次の点を意識するとよいでしょう。

  • ヴィンテージを確認する。良年のものは数十年単位の熟成に耐えると言われる(ヴィンテージワインの記事)
  • 保管状態のわかる、信頼できる販売店で買う。シャトーから直接出荷されたものは来歴がはっきりしている
  • まずはセカンドワインのレ・フォール・ド・ラトゥールから試すのも一つの方法

開けるときは、澱(おり)があることが多いので、ボトルを立てて休ませてからデキャンタに移すと安心です。牛肉のローストや仔羊のグリルなど、シンプルな肉料理がワインの力強さを引き立ててくれます。

まとめ

シャトー・ラトゥールは、ポイヤック村の南東端にある1855年格付け第1級のシャトーで、百年戦争時代の塔に由来する名前を持ちます。カベルネ・ソーヴィニヨン主体の力強く長命なワインで知られ、セカンドのレ・フォール・ド・ラトゥール、サードのポイヤック・ド・ラトゥールも造っています。プリムールから撤退し、飲み頃に近づいてから出荷するという独自の方針も、ラトゥールらしさのひとつです。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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