クリスタル シャンパンとは?ルイ・ロデレールの名品の歴史と味わい

クリスタル シャンパンとは?ルイ・ロデレールの名品の歴史と味わい シャンパン・スパークリング

クリスタル(Cristal)とは、フランス・シャンパーニュ地方の老舗メゾン、ルイ・ロデレールが造る最上級のシャンパンです。1876年にロシア皇帝アレクサンドル2世のために造られたのが始まりで、透明なクリスタルガラスのボトルと平らな底が目印です。良い年にしか造られないヴィンテージ・シャンパンで、いわゆる「プレステージ・キュヴェ」の先駆けとされています。

クリスタルの基本情報

まずは全体像を表で整理します。シャンパンそのものの定義や造り方はシャンパンの基本の記事にまとめています。

項目 内容
造り手 ルイ・ロデレール(ランス)
誕生 1876年(ロシア皇帝アレクサンドル2世のために)
一般向けの販売 1945年から
ぶどう ピノ・ノワール約6割、シャルドネ約4割(年により異なる)
タイプ ヴィンテージのみ(収穫年を名乗る)
熟成 セラーで約6年、澱引き後さらに約8か月
ボトル 透明なガラス、平らな底、光よけのセロファン包み

ロシア皇帝のために生まれたボトル

ルイ・ロデレールは18世紀後半に始まった商会を前身とし、19世紀にルイ・ロデレールが引き継いだことでいまの名前になりました。当時からロシアは大切な輸出先で、皇帝アレクサンドル2世は宮廷で出すシャンパンを、ほかの客のものと見分けられる特別なものにしたいと望んだといわれます。

そこで用意されたのが、中身が透けて見える無色透明のボトルです。当時のシャンパンは濃い色のガラス瓶が当たり前で、透明な瓶はそれだけで特別な存在でした。底を平らにしたのは、瓶の底のくぼみに何かを隠せないようにするためだった、という話もよく語られますが、これは逸話として伝わるものです。名前の「クリスタル」は、この透明で輝くガラスにちなんでいます。

皇帝の専用品だったクリスタルが一般に売り出されたのは、第二次世界大戦後の1945年です。ロシア革命で最大の顧客を失ったあとも名前は受け継がれ、今では世界中の高級レストランやお祝いの席で見かける銘柄になりました。

ぶどうと造りの特徴

クリスタルは、ルイ・ロデレールが自社で持つグラン・クリュの畑のぶどうを中心に造られます。メゾンは自社畑の比率が高いことで知られ、畑の手入れから一貫して管理できるのが強みです。

近年とくに話題になったのが栽培方法です。クリスタルは2012年ヴィンテージから、ビオディナミ(バイオダイナミック)で育てたぶどうだけで造られるようになりました。有名メゾンのプレステージ・キュヴェとしては珍しい取り組みで、畑の個性をそのまま映すことを目指したものとされています。

ぶどうの比率はピノ・ノワールがやや多く、シャルドネがそれに続きます。ブドウの出来が十分でない年には造られず、造られた年もセラーで長く寝かせてから出荷されます。長い熟成によって泡がきめ細かくなり、香りに奥行きが出ます。

味わいの特徴と飲みごろ

クリスタルの持ち味は、力強さよりも、なめらかさと透明感です。白い果実や柑橘を思わせる香りに、白い花やトーストのような熟成香が重なり、口に含むと絹のような泡と、すっと伸びる酸味が感じられるといわれます。チョーク質の土壌に由来するミネラル感もよく語られる特徴です。

リリース直後から楽しめますが、熟成させる価値のあるシャンパンでもあります。メゾンは20年以上たっても新鮮さを保てるとしており、年数を重ねたものはナッツや蜂蜜のような香りが増していきます。どちらが良いかは好みなので、若いうちのはつらつとした味わいと、熟成したまろやかさの両方に愛好家がいます。

クリスタル・ロゼ

ロゼ版のクリスタル・ロゼもあり、最初のヴィンテージは1974年です。生産量は白より少なく、価格もさらに高くなります。ロゼ・シャンパンの造り方の違いはロゼ・シャンパンの記事で紹介しています。

ボトルの扱いと楽しみ方

クリスタルの透明なボトルは美しい反面、光に弱いという弱点があります。シャンパンは紫外線に当たると風味が損なわれやすいため、クリスタルは金色がかったセロファンで包まれて出荷されます。保存するときはセロファンをはがさず、箱に入れたまま、涼しく暗い場所で寝かせておくのが安心です。

飲む温度は、よく冷やしすぎないのがポイントです。キリッと冷やした状態から少しずつ温度が上がると、香りの変化を楽しめます。グラスは細いフルートより、香りが広がるやや大ぶりのチューリップ型が向いています。グラスの選び方はワイングラスの記事も参考にしてください。

料理は、繊細な味わいを生かせるものが合います。生牡蠣、白身魚のカルパッチョ、キャビア、鶏やオマールエビのクリーム煮などがよく挙げられます。味の濃い料理より、素材の持ち味を楽しむ料理と合わせると、シャンパンの良さが引き立ちます。

ほかのプレステージ・シャンパンとの違い

高級シャンパンの代表格として、クリスタルはモエ・エ・シャンドンのドン・ペリニヨンや、シャルドネだけで造るサロンとよく比べられます。ドン・ペリニヨンは大手メゾンの顔として生産量も多く、サロンは単一の村・単一品種にこだわった少量生産です。クリスタルはその間にあって、家族経営のメゾンが自社畑を軸に造るという立ち位置です。

サロンについてはサロンの記事で、ほかのプレステージ・キュヴェの選び方は高級シャンパンの記事で詳しく紹介しています。

まとめ

クリスタルは、ロシア皇帝のために造られた透明なボトルから始まった、ルイ・ロデレールのプレステージ・シャンパンです。ピノ・ノワールとシャルドネを使い、良い年だけに造られ、長い熟成を経て出荷されます。2012年ヴィンテージからはビオディナミのぶどうだけで造られるようになりました。光に弱いボトルなのでセロファンのまま暗所で保管し、冷やしすぎずに香りの変化を楽しむのがおすすめです。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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