フランチャコルタとは?産地・サテンなどの種類とシャンパンとの違い

フランチャコルタとは?産地・サテンなどの種類とシャンパンとの違い シャンパン・スパークリング

フランチャコルタとは、イタリア北部ロンバルディア州のフランチャコルタ地区で、瓶内二次発酵だけで造られるスパークリングワインと、その産地の名前です。シャンパンと同じ製法で造られ、イタリアで瓶内二次発酵のワインとして初めてDOCG(統制保証原産地呼称)に認められたことから、イタリアを代表する本格派の泡として知られています。

この記事では、産地の特徴、使われるブドウ、サテンやロゼ、ミッレジマート、リゼルヴァといったタイプごとの規定、シャンパンとの違い、楽しみ方を、生産者協会(コンソルツィオ)が公開している規定をもとに整理します。

フランチャコルタの産地

フランチャコルタは、ミラノとヴェローナのあいだ、ブレシア県にあるイゼオ湖の南側に広がる丘陵地帯です。氷河期にカモニカ谷から下りてきた氷河が土砂を運んでできた丘(モレーン)が連なる地形で、夏は湖を渡る涼しい風が暑さをやわらげ、冬は湖が北からの冷気を和らげます。この穏やかな気候が、ブドウの栽培に適しているとされています。

産地として認められているのはブレシア県内の範囲だけで、エルブスコ、イゼオ、アドロ、パッシラーノなど14の町村の全域と、ロヴァートやコッカーリオなど4つの町村の一部が含まれます。生産者協会の本部もエルブスコにあります。

「フランチャコルタ」という地名の由来には、中世に税を免除された土地を指した「クルテス・フランカエ」にちなむとされています。協会の資料によると、この名前は1277年のブレシアの記録にすでに登場しています。

フランチャコルタの歴史

この地域では古くからワインが造られてきました。1570年には、医師ジローラモ・コンフォルティが泡立つワインについて書いた本の中で、この地のワインを「いきいきとした、泡立つ」ものとして紹介しています。

ただし、現在のようなフランチャコルタの歴史は意外に新しく、協会によると、最初の1本が生まれたのは1961年のことです。醸造家フランコ・ジリアーニが、この地でシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵のワインを造ったのが始まりとされています。

その後の歩みは次のとおりです。

  • 1967年:DOC(統制原産地呼称)に認定
  • 1990年:生産者協会(コンソルツィオ)が29の生産者によって設立
  • 1995年:瓶内二次発酵のイタリアワインとして初めてDOCGに認定

短い期間で産地としての評価を固め、いまではイタリアの泡の中でも特別な存在になっています。イタリアの発泡ワイン全般についてはスプマンテの記事で紹介しています。

使われるブドウと造り方

フランチャコルタの規定では、主にシャルドネとピノ・ネーロ(ピノ・ノワール)を使います。そのほか、ピノ・ビアンコを50%まで、この土地の伝統的な白ブドウであるエルバマットを10%まで加えることが認められています。シャルドネの特徴についてはシャルドネの記事もご覧ください。

造り方は、規定で瓶内二次発酵(ボトルの中での二次発酵と、澱を取り除くデゴルジュマン)に限られています。収穫したブドウからまずベースとなるワインを造り、それを瓶に詰めて糖分と酵母を加え、瓶の中でもう一度発酵させて泡を生みます。発酵後は澱と一緒に長い期間寝かせ、その間に香ばしさや複雑な香り、きめ細かな泡が育ちます。瓶詰めは、収穫の翌年の2月1日以降でなければ始められません。

ラベルの表示にも独特のルールがあります。フランチャコルタでは、ラベルに「メトド・クラッシコ(伝統方式)」などの製法名や、「ヴィーノ・スプマンテ(スパークリングワイン)」という言葉を書くことが禁じられています。「フランチャコルタ」という名前だけで、瓶内二次発酵の発泡ワインであることを示す、という考え方です。この点は、ラベルに「シャンパーニュ」とだけ書くシャンパンとよく似ています。

タイプ別の規定(サテン・ロゼ・ミッレジマート・リゼルヴァ)

フランチャコルタには、基本のフランチャコルタのほかに、サテンとロゼという2つのスタイルがあり、さらに収穫年を表示するミッレジマートと、長期熟成のリゼルヴァがあります。いずれも、瓶詰め後に澱と一緒に寝かせる最低期間が決められています。

タイプ 主なブドウの規定 澱と接する最低期間 認められる甘辛度
フランチャコルタ シャルドネ、ピノ・ネーロ(ピノ・ビアンコ50%まで、エルバマット10%まで) 18か月 ドザッジョ・ゼロからドゥミ・セックまで
サテン 白ブドウのみ(シャルドネ50%以上、ピノ・ビアンコ50%まで) 24か月 ブリュットのみ
ロゼ ピノ・ネーロ35%以上 24か月 ドザッジョ・ゼロからドゥミ・セックまで
ミッレジマート 各タイプの規定に従う 30か月 ドザッジョ・ゼロからエクストラ・ドライまで(サテンはブリュットのみ)
リゼルヴァ 各タイプの規定に従う 60か月 ドザッジョ・ゼロからブリュットまで(サテンはブリュットのみ)

サテン(Satèn)

サテンは、フランチャコルタだけにある独自のスタイルです。白ブドウだけで造り、ガス圧を最大5バールに抑えるよう決められています。泡がとても細かく、クリーミーでなめらかな口当たりが特徴で、その名のとおり絹織物のサテンを思わせる質感です。甘辛度はブリュットだけが認められています。

ロゼ(Rosé)

ピノ・ネーロを35%以上使い、瓶詰めの前の段階でロゼの色になっていることが条件です。白のフランチャコルタより熟成期間が長く、赤い果実の香りとしっかりした骨格を持つものが多く見られます。

ミッレジマート(Millesimato)

イタリア語で「ヴィンテージ」を意味し、ラベルに収穫年を表示したものです。その年に収穫したブドウのワインを85%以上使う必要があり、熟成期間も30か月以上と長くなります。天候に恵まれず品質が十分でない年には、州が収穫年の表示を認めないこともあります。

リゼルヴァ(Riserva)

ミッレジマートのうち、澱と一緒に60か月(5年)以上寝かせたものだけがリゼルヴァを名乗れます。ラベルには必ず収穫年が添えられ、甘辛度はドザッジョ・ゼロ、エクストラ・ブリュット、ブリュットの辛口のみです。長い熟成による深い香りが特徴の、フランチャコルタの最上位のタイプです。

甘辛度の表示(ドザッジョ・ゼロ、ブリュットなど)の意味はブリュットの記事で一覧にしています。

シャンパンとの違い

フランチャコルタとシャンパンは、どちらも瓶内二次発酵で造られ、シャルドネとピノ・ノワール(ピノ・ネーロ)を主に使う点で共通しています。違いが出るのは、産地の気候と規定の細かな部分です。

項目 フランチャコルタ シャンパン
国・産地 イタリア・ロンバルディア州 フランス・シャンパーニュ地方
主なブドウ シャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ、エルバマット シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエなど
ノン・ヴィンテージの最低熟成 澱と18か月以上 瓶詰めから15か月以上(うち澱と12か月以上)
独自のスタイル サテン(白ブドウのみ、ガス圧を抑えたもの) ブラン・ド・ブラン、ブラン・ド・ノワールなど

シャンパーニュ地方より南に位置し、日照に恵まれることから、フランチャコルタには果実味が豊かで丸みのある味わいのものが多いといわれます。ノン・ヴィンテージで比べると、規定の最低熟成期間がシャンパンより長いのも特徴のひとつです。

フランチャコルタの楽しみ方

熟成による香ばしさと豊かな果実味をあわせ持つので、食前酒だけでなく、食事と一緒に楽しむワインとしても向いています。

  • 基本のフランチャコルタ(ブリュット):生ハム、チーズ、魚介の前菜など幅広く
  • サテン:泡がやわらかいので、魚介の前菜や甲殻類、魚介のリゾット、寿司など繊細な味に
  • ロゼ:鶏肉や豚肉のロースト、トマトを使った料理に
  • リゼルヴァ:熟成したチーズや、きのこ・トリュフを使ったリゾットなど香りの豊かな料理に

温度は8〜10℃前後が目安で、冷やしすぎないほうが香りがよく開きます。熟成の長いリゼルヴァは、口の広めのグラスで香りを楽しむのもよいでしょう。

なお、同じ地域で造られる泡のないワイン(スティルワイン)は、フランチャコルタではなく「クルテフランカ(Curtefranca)」などの別の呼称で出荷されます。ラベルに「フランチャコルタ」とあれば、それは瓶内二次発酵の発泡ワインだと考えて間違いありません。

まとめ

フランチャコルタは、ロンバルディア州ブレシア県の丘陵地帯で、瓶内二次発酵だけで造られるスパークリングワインです。1961年に最初の1本が生まれ、1995年に瓶内二次発酵のイタリアワインとして初めてDOCGに認められました。基本のフランチャコルタは澱と18か月以上、サテンとロゼは24か月以上、ミッレジマートは30か月以上、リゼルヴァは60か月以上の熟成が義務づけられています。シャンパンと同じ製法を持ちながら、イタリアらしい果実味と独自のサテンを持つ泡として、ほかのスパークリングワインと飲み比べてみるのも楽しいでしょう。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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