スプマンテとは?イタリアのスパークリングワインの種類と製法

スプマンテとは?イタリアのスパークリングワインの種類と製法 シャンパン・スパークリング

スプマンテとは、イタリア語で「泡立つワイン」、つまりスパークリングワインのことです。特定の産地や銘柄の名前ではなく、イタリアで造られる発泡性ワイン全般を指す言葉で、プロセッコのような軽やかな辛口から、アスティのような甘口、フランチャコルタのような瓶内二次発酵の本格派まで、さまざまなタイプが含まれます。

この記事では、スプマンテという言葉の意味、法律上の位置づけ、造り方の違い、代表的な産地、ラベルの読み方、楽しみ方までを順に整理します。シャンパンやほかの国の泡との違いを知りたいときは、スパークリングワインの基本もあわせてご覧ください。

スプマンテの意味と法律上の定義

スプマンテ(spumante)は、イタリア語の動詞 spumare(泡立つ)から来た言葉です。フランス語のヴァン・ムスー、スペイン語のエスプモーソ、ドイツ語のシャウムヴァインと同じように、その国の言葉で「スパークリングワイン」を表す一般名詞だと考えるとわかりやすいでしょう。

イタリアはEU加盟国なので、ワインの分類はEUのルールに沿っています。EUの区分では、スパークリングワイン(イタリア語でヴィーノ・スプマンテ)は、20℃で密閉した状態のガス圧が3気圧(3バール)以上のものとされています。品質の基準を満たした「ヴィーノ・スプマンテ・ディ・クオリタ」では、この圧力の下限が3.5バールに引き上げられます。

一方、ガス圧が1〜2.5バールの弱発泡のワインは「フリッツァンテ(frizzante)」と呼ばれ、スプマンテとは別の分類です。シュワッとした泡が長く続くのがスプマンテ、口当たりがやさしくピリッとする程度なのがフリッツァンテ、と覚えておくと、ラベルを見たときに味の見当がつけやすくなります。モスカート・ダスティや多くのランブルスコは、このフリッツァンテ寄りのワインとして知られています。

造り方は大きく2つ

スプマンテの泡は、ワインの中でもう一度発酵を起こし、そのとき生まれる炭酸ガスを閉じ込めることで生まれます。この二次発酵をどこで行うかによって、大きく2つの製法に分かれます。

タンク内二次発酵(マルティノッティ方式/シャルマ方式)

大きな密閉タンク(イタリア語でアウトクラーヴェ)の中で二次発酵を行う方法です。アスティの醸造試験所の所長だったフェデリコ・マルティノッティが1895年に特許を取り、その後1910年ごろにフランスのウジェーヌ・シャルマが専用の設備を作って特許を得たことから、イタリアでは「メトド・マルティノッティ」、国際的には「シャルマ方式」と呼ばれることが多い製法です。

短期間で大量に仕上げられるうえ、酵母と接する時間が短いので、ブドウそのもののフルーティーな香りや花のような香りがそのまま残りやすいのが特徴です。プロセッコやアスティなど、品種の香りを楽しむタイプのスプマンテに広く使われています。

瓶内二次発酵(メトド・クラッシコ)

ベースとなるワインを瓶に詰め、糖分と酵母を加えて栓をし、瓶の中で二次発酵させる方法です。シャンパーニュと同じ方式で、イタリアでは「メトド・クラッシコ(伝統方式)」と呼ばれます。発酵後も瓶の中で澱(おり)と一緒に長く寝かせるため、パンやナッツを思わせる香り、きめ細かい泡、厚みのある味わいが生まれます。

手間と時間がかかる分、造り手の個性や熟成の差が出やすく、イタリアではフランチャコルタやトレント(トレントDOC)がこの製法の代表的な産地として知られています。製法の考え方そのものはシャンパンと共通しています。

項目 タンク内二次発酵 瓶内二次発酵
イタリアでの呼び名 メトド・マルティノッティ メトド・クラッシコ
発酵の場所 大型の密閉タンク 1本1本の瓶
香りの傾向 果実や花の香りがいきいき 熟成由来の香ばしさ、複雑さ
代表例 プロセッコ、アスティ フランチャコルタ、トレントDOC

代表的なスプマンテの産地と種類

イタリアは南北に長く、スプマンテも地域ごとに品種や製法がはっきり分かれています。名前を覚えておくと、売り場やレストランのリストで選ぶときに役立ちます。

プロセッコ(ヴェネト州・フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州)

グレーラ種を主体に、タンク内二次発酵で造られるものが中心です。青りんごや洋なし、白い花のような軽やかな香りがあり、イタリアのスプマンテの中でも特によく見かける存在です。産地の中でも、ヴェネト州のコネリアーノとヴァルドッビアーデネの丘陵地帯で造られるものは、より格上のDOCGとして区別されています。

アスティ(ピエモンテ州)

香り高いモスカート・ビアンコ種から造られる、甘口のスプマンテの代表です。マスカットそのもののような華やかな香りと、アルコール度数の低さが特徴です。弱発泡のモスカート・ダスティとの違いはアスティ・スプマンテの記事で詳しく紹介しています。

フランチャコルタ(ロンバルディア州)

イゼオ湖の南に広がる丘陵地帯で、瓶内二次発酵だけで造られるスプマンテです。シャルドネやピノ・ネーロを主体に、規定で長い熟成期間が定められています。ラベルに「スプマンテ」と書かず、産地名だけで名乗るのも特徴です。詳しくはフランチャコルタの記事をご覧ください。

トレントDOC(トレンティーノ地方)

アルプスに近い冷涼な山あいで造られる、瓶内二次発酵のスプマンテです。生産者の団体は、瓶内二次発酵のスパークリングとしてイタリアで初めてDOCに認められた産地だとしています。シャルドネ主体の、すっきりと引き締まった味わいのものが多く見られます。

そのほかの産地

ピエモンテ州のアルタ・ランガや、ロンバルディア州のオルトレポー・パヴェーゼも、瓶内二次発酵のスプマンテで知られる産地です。また、南イタリアやサルデーニャ島など、土地の品種を使ったスプマンテも各地で造られています。

イタリアのスプマンテの歴史

イタリアのスプマンテの歴史を語るときによく名前が挙がるのが、ピエモンテのガンチア社です。同社の説明によると、カルロ・ガンチアは1850年に兄弟とともに会社を興し、1865年にシャンパーニュの製法にならってピエモンテのモスカート種から発泡ワインを造りました。これが「イタリア最初のスプマンテ」とされています。当時は「モスカート・シャンパーニュ」などと呼ばれていたそうです。

その後、ガンチア社はモスカートの産地であるカネッリに拠点を移しました。カネッリのあるアスティ周辺は、マルティノッティがタンク内二次発酵の特許を取った土地でもあり、イタリアのスプマンテづくりの中心地のひとつになっていきます。20世紀後半になると、フランチャコルタやトレントで瓶内二次発酵の本格的なスプマンテが広がり、イタリアの泡は甘口から辛口まで幅の広いジャンルに育ちました。

ラベルの見方と甘辛度

スプマンテのラベルには、甘辛度を示す表示が入っていることがよくあります。基準はEUで共通なので、シャンパンやカヴァと同じ言葉が使われます。残糖量(1リットルあたりの糖分)のおおよその区分は次のとおりです。

表示 イタリアでの表記例 残糖量の目安(g/L) 味わい
ブリュット・ナチュール パ・ドゼ、ドザッジョ・ゼロ 3未満 極辛口
エクストラ・ブリュット エクストラ・ブリュット 0〜6 極辛口
ブリュット ブリュット 12未満 辛口
エクストラ・ドライ エクストラ・ドライ 12〜17 やや辛口
ドライ セッコ 17〜32 中辛口
ドゥミ・セック アッボッカート 32〜50 中甘口
ドゥー ドルチェ 50超 甘口

名前に反して「エクストラ・ドライ」は「ブリュット」より甘い、という点は間違えやすいところです。甘辛度の表示について詳しくはブリュットの記事にまとめています。

そのほか、ラベルによく出てくる言葉として、収穫年を表示した「ミッレジマート(ヴィンテージ)」、長期熟成品に使われることがある「リゼルヴァ」、瓶内二次発酵を示す「メトド・クラッシコ」などがあります。DOCやDOCGといった原産地呼称の表示も、産地や規定を知る手がかりになります。

スプマンテの選び方と楽しみ方

はじめて選ぶときは、まず「甘口か辛口か」「軽やかさか、熟成の深みか」の2点から考えると迷いにくくなります。

  • 食前酒や気軽な乾杯に:辛口のプロセッコなど、タンク内二次発酵の軽やかなタイプ
  • デザートや果物と合わせるなら:アスティなど、モスカート種の甘口タイプ
  • 食事と一緒にじっくり楽しむなら:フランチャコルタやトレントDOCなど、瓶内二次発酵のタイプ

料理との相性では、辛口のスプマンテは揚げ物や生ハム、魚介の前菜とよくなじみます。泡と酸味が油分を流してくれるので、フリットやカルパッチョ、魚介のパスタなどとも合わせやすいでしょう。甘口のものは、フルーツタルトや焼き菓子、ナッツ入りのお菓子など、甘さのあるデザートと一緒に楽しまれています。

温度は、軽やかなタイプなら6〜8℃前後とよく冷やすと泡と香りが引き立ちます。熟成感のある瓶内二次発酵のものは、冷やしすぎると香りが閉じやすいので、やや高めの8〜10℃前後が目安です。開けた後は泡が抜けやすいので、専用のストッパーで栓をして冷蔵庫に入れ、早めに飲み切るのがおすすめです。

まとめ

スプマンテは、イタリアで造られるスパークリングワインの総称です。法律上はガス圧3バール以上のものを指し、弱発泡のフリッツァンテとは区別されます。製法はタンク内二次発酵(マルティノッティ方式)と瓶内二次発酵(メトド・クラッシコ)の2つが中心で、前者はプロセッコやアスティのような香り豊かなタイプ、後者はフランチャコルタやトレントDOCのような熟成感のあるタイプに使われています。産地と製法、甘辛度の表示を押さえておけば、好みの1本を選びやすくなります。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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