ケンゾー エステイト(KENZO ESTATE)とは、ゲーム会社カプコンの創業者・辻本憲三氏がアメリカ・カリフォルニア州ナパ・ヴァレーに開いたワイナリーです。「紫鈴(りんどう)」「紫(むらさき)」「藍(あい)」「あさつゆ」など、日本語の名前をもつワインを造っているのが大きな特徴です。ナパでも名の知れた栽培家・醸造家を迎えて造られ、日本人が手がけるナパワインとして広く知られるようになりました。
ケンゾー エステイトとは
ケンゾー エステイトは、ナパ・ヴァレー南部の山あいに広がる土地に畑と醸造所を構えるワイナリーです。所有する土地は470万坪という広大なもので、そのうちブドウ栽培に向いた丘陵地を選んで畑を拓いています。
ナパ・ヴァレーは、カリフォルニアのなかでも特にカベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸地として知られる産地です。ケンゾー エステイトも、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、カベルネ・フランといったボルドー系の品種を中心に赤ワインを造り、白ではソーヴィニヨン・ブランに力を入れています。品種の特徴はカベルネ・ソーヴィニヨンの記事でも紹介しています。
ワインの名前には、日本の色や自然、言葉が選ばれています。英語のラベルが並ぶナパのワインのなかで、漢字やひらがなの名前はひときわ目を引き、日本の食卓や贈り物の場面でも話題にしやすい存在です。
ケンゾー エステイトの歩み
はじまりは1990年、辻本氏がナパの土地を購入したことでした。購入した土地には、かつて馬術場として使われていた場所も含まれていました。ブドウ畑づくりが本格的に始まったのは1998年のことです。1999年にカベルネ・ソーヴィニヨンなどの苗木が植えられ、2001年に初めての収穫を迎えました。
転機になったのは、ナパを代表する栽培家デイヴィッド・アブリューとの出会いです。2002年からはアブリューの指揮のもとで畑をいちから造り直し、2003年には醸造家ハイディ・バレットがチームに加わりました。ハイディ・バレットは、ナパのカルトワインと呼ばれる希少なワインを手がけてきたことで知られる醸造家です。
おもな出来事を年表で整理すると、次のようになります。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1990年 | ナパの土地を購入 |
| 1998年 | ブドウ畑の開墾を始める |
| 2002年 | 栽培家デイヴィッド・アブリューのもとで畑を再構築 |
| 2003年 | 醸造家ハイディ・バレットが参加 |
| 2008年 | 2005年ヴィンテージの「紫鈴」「紫」「藍」を発表 |
| 2009年 | 醸造所とケイヴ(貯蔵庫)が完成。「あさつゆ」を発売 |
| 2010年 | ワイナリーがグランドオープン。東京・広尾に直営店を開く |
| 2013年 | 甘口ワイン「夢久」を発表 |
| 2018年 | スパークリングワイン「清」を発売 |
ファーストヴィンテージの発表は、東京の帝国ホテルで行われました。その後、醸造所の完成によって自社で一貫してワインを造る体制が整い、2010年にはワイナリーとして本格的に開業しています。2019年には、世界のトップ100ワイナリーのひとつに選ばれたと公式サイトで紹介されています。現在の公式サイトでは、コンサルティング・ワインメーカーとしてヘレン・ケプリンガーの名前が挙げられています。
主なワインのラインナップ
ケンゾー エステイトのワインは、ほとんどが日本語の名前をもっています。ここでは代表的なものを紹介します。品種の構成は年(ヴィンテージ)によって変わるため、主体となる品種を目安にしてください。
| 名前 | 読み | タイプ | 主体の品種 |
|---|---|---|---|
| 紫鈴 | りんどう | 赤 | カベルネ・ソーヴィニヨン主体のボルドー系ブレンド |
| 紫 | むらさき | 赤 | メルロ |
| 藍 | あい | 赤 | カベルネ・ソーヴィニヨン |
| 明日香 | あすか | 赤 | カベルネ・フラン |
| あさつゆ | あさつゆ | 白 | ソーヴィニヨン・ブラン(セミヨンを少し) |
| 結 | ゆい | ロゼ | ― |
| 夢久 | むく | 甘口 | 遅摘みのブドウから造る甘口 |
| 清 | せい | スパークリング | ソーヴィニヨン・ブラン |
紫鈴(りんどう)
ケンゾー エステイトの看板といえるワインです。カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、メルロ、プティ・ヴェルド、カベルネ・フラン、マルベックを組み合わせたボルドースタイルの赤で、力強さと上品さのバランスを目指したワインとされています。名前には、ブドウが「鈴なり」に実る畑の姿や、釣り鐘の形の花をつけるリンドウのイメージが重ねられています。
紫(むらさき)と藍(あい)
「紫」はメルロを主体にした赤で、ボルドー右岸のスタイルを思わせるワインです。「藍」はカベルネ・ソーヴィニヨンを主体にした赤で、藍染めのように深く鮮やかな色合いと、熟成による変化が名前に込められています。同じ畑から生まれた二本を、品種の違いに注目して比べてみるのも楽しみ方のひとつです。メルロについてはメルロの記事でもくわしく紹介しています。
あさつゆ
ソーヴィニヨン・ブランを主体に、少量のセミヨンを加えた白ワインです。名前は「朝露」のことで、夜明け前にブドウの葉に降りた露が朝日に輝く様子から付けられました。ハイディ・バレットが初めて手がけたソーヴィニヨン・ブランとしても紹介されており、すっきりした酸と果実の厚みをあわせ持つ白とされています。
選び方と楽しみ方
ケンゾー エステイトのワインは、ナパの上質なワインとして価格帯も高めのものが中心です。普段の食卓よりは、記念日や贈り物として選ばれることが多いでしょう。日本語の名前は贈る理由を添えやすく、相手の名前や季節に合わせて選ぶ楽しみもあります。贈り物の選び方はワインギフトの記事も参考にしてください。
- しっかりした赤が好きな人には:紫鈴や藍
- まろやかな赤が好きな人には:紫
- 白ワイン派や食事に合わせやすい一本なら:あさつゆ
- 乾杯やお祝いの席には:スパークリングの清
カベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤は、牛肉のステーキやローストビーフ、すき焼きのように肉の旨みがしっかりした料理に合わせやすいタイプです。あさつゆのようなソーヴィニヨン・ブランの白は、ハーブを使った料理や魚介のカルパッチョ、天ぷらなどとも相性がよいとされます。
同じナパ・ヴァレーで生まれた名門ワインとしては、オーパス・ワンもよく知られています。ナパのワインの広がりを知るうえで、あわせて読んでみてください。
まとめ
ケンゾー エステイトは、カプコン創業者の辻本憲三氏がナパ・ヴァレーに開いたワイナリーです。1990年の土地購入から、栽培家デイヴィッド・アブリュー、醸造家ハイディ・バレットらを迎えて畑と醸造の体制を整え、2008年に最初のワインを発表しました。紫鈴、紫、藍、あさつゆといった日本語の名前のワインは、ナパの本格的な味わいと日本らしい感性が出会った存在として、特別な日の一本や贈り物に選ばれています。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。



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