マルベックとは?アルゼンチンで花開いた赤ワイン品種の特徴と産地

マルベックとは?アルゼンチンで花開いた赤ワイン品種の特徴と産地 ワイン

マルベックとは、フランス南西部生まれで、いまはアルゼンチンを代表する赤ワイン用のブドウ品種です。深い紫がかった色と、プラムやブラックベリーの濃い果実味、なめらかな渋みが特徴で、しっかりした味わいながら飲みやすい赤ワインになります。故郷のフランス・カオールでは「黒ワイン」と呼ばれるほど色の濃いワインを生んできました。

マルベックの特徴

マルベックは果皮が厚く、色素がたっぷりとれるブドウです。グラスに注ぐと、ふちが紫がかった深い色をしています。香りや味わいの特徴は次のとおりです。

  • 香り: 熟したプラム、ブラックチェリー、ブラックベリー、スミレの花、ココア、樽熟成ならバニラ
  • 味わい: 果実味が豊かで、口当たりがなめらか
  • 渋み: しっかりあるが、アルゼンチン産は丸くやわらかいものが多い
  • 酸: 中程度。カオール産はやや引き締まった印象

カベルネ・ソーヴィニヨンほど渋みが硬くなく、メルローよりも色と果実味が濃い、というのがよくある説明です。フランスでは「コット(Côt)」、カオールでは「オーセロワ(Auxerrois)」とも呼ばれます。

故郷はフランス南西部カオール

マルベックの故郷は、フランス南西部ロット川沿いのカオールとされます。カオールのワインは中世から知られ、色が濃くタンニンの強い赤ワインは「ブラック・ワイン」と呼ばれて、遠くまで運ばれていました。

かつてはボルドーでも補助品種として広く植えられていましたが、病気や霜に弱いという弱点がありました。とくに1956年の大寒波による霜害でボルドーの多くの樹が枯れ、植え替えの際にはメルローなどに切り替えられたため、ボルドーでのマルベックは大きく減りました。現在もボルドーで認められた品種のひとつではありますが、使われる量はわずかです。

一方カオールでは、同じ霜害のあとにマルベックが植え直され、むしろ主役の座を固めました。現在のAOCカオールでは、マルベックを70%以上使うことが決まっています。カオールのマルベックは、アルゼンチン産に比べて酸と渋みがしっかりしており、引き締まった、やや素朴な味わいのものが多く見られます。

アルゼンチンで花開いたマルベック

マルベックを世界的な品種に押し上げたのはアルゼンチンです。1853年、のちに大統領となるドミンゴ・ファウスティーノ・サルミエントの後押しで、メンドーサにフランス人農学者ミシェル・エメ・プージェを責任者とする農業試験場の設立が決まり、プージェがフランスから持ち込んだ品種のなかにマルベックがありました。この日にちなみ、4月17日は「マルベック・ワールド・デー(世界マルベックの日)」とされています。

アンデス山脈のふもとのメンドーサは、標高が高く、日差しが強いのに夜は冷え込み、空気が乾いています。この環境で、マルベックはフランスでは見られなかったほど色が濃く、果実味がたっぷりで、渋みのなめらかなワインになりました。乾燥しているため病気が出にくく、フランスで手を焼いた弱点も目立ちません。

アルゼンチンの主な産地

  • メンドーサ: アルゼンチン最大のワイン産地。ルハン・デ・クージョ、マイプーなどがマルベックの名産地
  • ウコ・ヴァレー: メンドーサの中でも標高が高い地区。酸が保たれ、香りの華やかなマルベックが生まれる
  • サルタ(カファジャテ): 北部の非常に標高の高い産地
  • パタゴニア: 南部の冷涼な産地。比較的軽やかなスタイル

産地によるスタイルの違い

産地 味わいの傾向 向いている人
アルゼンチン(メンドーサ) 濃い果実味、なめらかな渋み、豊かなボリューム 果実味たっぷりの赤が好きな人、はじめてのマルベック
アルゼンチン(高地) 果実味に加え、酸と花の香りが際立つ 濃いけれど重すぎない赤が好きな人
フランス(カオール) 引き締まった酸と渋み、土っぽさ、熟成向き ヨーロッパらしい落ち着いた赤が好きな人
チリなどほかの産地 果実味主体。ブレンドの一部に使われることも 手ごろな価格で試したい人

アルゼンチンのマルベックは、手ごろな価格帯のものでも果実味がしっかりしていて満足感がある、と評価されることが多く、日本のスーパーやワインショップでもよく見かけます。南米ワインの選び方は、チリのモンテス・アルファやカッシェロ・デル・ディアブロの記事も参考になります。

合う料理と飲み方

アルゼンチンは牛肉の消費量が多い国で、炭火で肉の塊を焼く「アサード」とマルベックの組み合わせが定番とされています。家庭でも、肉料理と合わせると力を発揮します。

  • 牛ステーキ、ローストビーフ、ハンバーグ
  • 炭火焼きや網焼きの肉、スペアリブ
  • ビーフシチュー、ミートソース
  • カオール産なら、鴨のコンフィやカスレなど南西フランスの料理
  • チーズならチェダーやゴーダなど、コクのあるもの

飲む温度は16〜18度くらいが目安です。濃厚なものは、飲む少し前に抜栓したり、デキャンタに移したりすると香りが開いてまろやかになります。赤ワイン全般の扱いは赤ワインの基本にもまとめています。

まとめ

マルベックはフランス・カオール生まれの黒ブドウで、19世紀半ばにアルゼンチンへ渡り、メンドーサの高地で大きく花開きました。濃い色、プラムのような果実味、なめらかな渋みが持ち味で、牛肉料理との相性は抜群です。果実味豊かなアルゼンチン産と、引き締まったカオール産を飲み比べると、同じ品種の二つの顔が楽しめます。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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