モルドバワインとは?東欧の知られざるワイン大国の産地と品種

モルドバワインとは?東欧の知られざるワイン大国の産地と品種 ワイン

モルドバワインとは、東ヨーロッパ、ルーマニアとウクライナに挟まれた小さな国モルドバで造られるワインです。国土に対してブドウ畑の割合がとても大きく、ワイン造りが国の暮らしと産業の中心にある「ワインの国」として知られています。フェテアスカ・ネアグラなどの土着品種や、世界最大級のワインコレクションを持つ地下セラーも、モルドバワインならではの話題です。

モルドバはどんな国か

モルドバは、黒海の北西、ルーマニアの東隣にある内陸国です。公用語はルーマニア語と同系統の言葉で、文化的にもルーマニアと近い関係にあります。なだらかな丘が続き、温暖な夏と寒い冬を持つ気候は、ブドウ栽培に向いているとされます。

項目 内容
位置 東ヨーロッパ。ルーマニアとウクライナの間
ブドウ畑の面積 約14万8千ヘクタール(うち商業生産用は約10万8千ヘクタール)
生産量 約200万ヘクトリットル(2018年ごろ)
主な輸出先 EU向けが6割ほど(2022年)
代表的な品種 フェテアスカ・アルバ、フェテアスカ・レガラ、フェテアスカ・ネアグラ、ララ・ネアグラなど

国の規模に比べてブドウ畑が非常に多く、ヨーロッパでも上位のワイン生産国のひとつに数えられています。

なぜ「ワインの国」と呼ばれるのか

モルドバが「ワインの国」と呼ばれるのは、国土の大きさに対してブドウ畑の割合がとても大きく、ワインが重要な輸出品として国の経済を支えてきたからです。また、ワイン造りは家庭の文化としても根づいていて、地方では自家製のワインを造る家庭も多いと紹介されます。

地理的には、北部のバルツィ、中部のコドル、南東部のプルカリ、南部のカフルという4つの地域に分けて説明されることもあります。北部は冷涼で、南へ行くほど暖かくなり、赤ワインに向いた土地が増えていきます。こうした気候の違いが、白からスパークリング、力強い赤まで、さまざまなスタイルのワインを生んでいます。

モルドバワインの歴史

この土地のワイン造りの歴史は古く、15世紀のモルドバ公国の君主シュテファン大公の時代には、ワインがポーランドやウクライナ、ロシア方面への重要な輸出品だったと伝えられています。

20世紀にはソビエト連邦の一部となり、大量生産のワインの供給地としての役割を担いました。1980年代半ばの反アルコール政策では、1985年から1987年にかけてブドウ畑の約3割が失われたとされ、大きな打撃を受けています。

独立後も、主な輸出先だったロシアが2006年と2013年にモルドバワインの輸入を禁じたことで、輸出は大きく揺れました。これをきっかけに、モルドバのワイン業界は品質の向上と、EUやアジアなど新しい市場の開拓に力を入れるようになります。「ワイン・オブ・モルドバ」という国のブランドを掲げた取り組みもその一環です。

主な産地(地理的表示)

モルドバのワインには、地理的表示(PGI)として認められた産地があります。ワインの主な産地は次の3つです。

産地 場所 特徴
コドル 中部 最も広い産地。森の多い涼しめの土地で、白ワインやスパークリングワインが得意とされる
ヴァルル・ルイ・トライアン 南西部 日当たりのよい斜面から、力強い赤ワイン
シュテファン・ヴォダ 南東部 赤ワインで知られる。黒海に比較的近い

このほか、ワインを蒸留したブランデー「ディヴィン」にも地理的表示があります。

土着品種と国際品種

モルドバでは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランといった国際品種が広く栽培されています。そのうえで近年注目されているのが、ルーマニアと共通する土着品種です。

  • フェテアスカ・アルバ(白):やわらかな花の香りを持つ白ブドウ
  • フェテアスカ・レガラ(白):香り豊かで、爽やかな酸を持つ白ブドウ
  • フェテアスカ・ネアグラ(黒):黒い果実やスパイスの香りを持ち、しっかりした赤になる
  • ララ・ネアグラ(黒):色が淡めで、軽やかな赤になりやすい品種

土着品種と国際品種をブレンドしたワインも多く、たとえばカベルネ・ソーヴィニヨンにララ・ネアグラなどを合わせた赤は、シュテファン・ヴォダの名物として紹介されます。品種の基本はカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロの記事も参考にしてください。

地下セラーとワインの祭り

モルドバのワインを語るうえで欠かせないのが、石灰岩の採掘跡を利用した巨大な地下セラーです。なかでもミレシュティ・ミチのセラーは、150万本を超えるワインを地下の坑道に保管しており、2005年から「世界最大のワインコレクション」としてギネス世界記録に認定されています。保管に使われている坑道だけでも約55キロメートルに及びます。

クリコヴァにも同じように広大な地下セラーがあり、どちらも見学ツアーで知られる観光名所です。また、毎年10月の第1週末ごろには「ナショナル・ワイン・デー」が開かれ、首都キシナウに国内のワイナリーが集まる、国を挙げたお祭りになっています。

選び方と楽しみ方

日本でもモルドバワインを扱う輸入元や専門店が見られるようになってきました。選ぶときは、次のような点を手がかりにするとよいでしょう。

  • モルドバらしさを味わいたいなら、フェテアスカ・ネアグラやフェテアスカ・アルバなど土着品種のもの
  • なじみのある味から入るなら、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、シャルドネ
  • 産地名(コドル、ヴァルル・ルイ・トライアン、シュテファン・ヴォダ)がラベルにあるかどうか

赤は肉の煮込みやグリル、白は鶏肉や魚、野菜料理と合わせやすいでしょう。まだ日本ではなじみの薄い産地だからこそ、見つけたときに気軽に試してみるのも楽しみ方のひとつです。ワインの産地を広く知りたい人はワインの基本の記事もどうぞ。

まとめ

モルドバワインは、ルーマニアとウクライナに挟まれた東欧の国モルドバのワインです。国土に対してブドウ畑が多く、15世紀から続く長い歴史を持ち、ソ連時代やロシアの禁輸を経て、品質重視へと転換してきました。フェテアスカ・ネアグラなどの土着品種や、ギネス記録を持つ地下セラーなど話題も豊富です。見かけたらぜひ手に取ってみてください。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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