グレープリパブリック(GRAPE REPUBLIC)とは、山形県南陽市でぶどうの栽培からワイン造りまでを手がける、ナチュラルワインのワイナリーです。天然酵母だけで発酵させ、補糖や補酸をせず、酸化防止剤も加えないワインを「Made from 100% Grapes.」(ぶどう100%でできたワイン)という言葉とともに造っています。スペインから取り寄せた素焼きのかめ「アンフォラ」で仕込むことでも知られ、日本のナチュラルワインを代表する造り手のひとつに数えられています。
グレープリパブリックの成り立ち
グレープリパブリックを立ち上げたのは藤巻一臣さんです。藤巻さんは1965年に神奈川県で生まれ、イタリア料理店を展開するサローネグループで統括ゼネラルマネージャーを務めた、名の知れたサービスマンでした。
山形県南陽市を選んだのは、サローネグループ代表の平高行さんの実家がぶどう農家だったことが縁です。2011年の東日本大震災のあと、炊き出しなどで東北に通うなかで、農家の高齢化や耕作放棄地の問題を目の当たりにしたことが、ワイン造りに人生をかける決心につながったと紹介されています。
藤巻さんはニュージーランドでの修業を経て、2015年に南陽市へ移り住み、ぶどうの栽培を始めました。株式会社グレープリパブリックの設立は2015年8月とされ、代表取締役は平高行さんです。2017年に自社のワイナリーができて醸造を始め、2018年の春に自社醸造のワインを初めて送り出しました。なお、ワイナリーの紹介によっては「2017年設立」と書かれていることがありますが、これはワイナリーが完成して醸造を始めた年を指していると考えられます。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 2015年 | 藤巻一臣さんが南陽市に移住し、ぶどう栽培を始める。8月に会社を設立 |
| 2017年 | 自社ワイナリーが完成し、醸造を始める |
| 2018年春 | 自社醸造のワインを初めて出荷 |
「ぶどう100%」のワイン造り
グレープリパブリックのワインは、いわゆるナチュラルワイン(自然派ワイン)です。紹介されている方針をまとめると、次のようになります。
- 畑では化学的な農薬や肥料に頼らず、ボルドー液と雨よけのビニール屋根を使う程度にとどめる
- 生食用ぶどうで行うジベレリン処理(種なしにするための処理)をしない
- 発酵はぶどうに付いている天然の酵母だけで行う
- 補糖・補酸をせず、酸化防止剤も加えない
雨の多い日本で、ぶどうの病気を抑えながらこうした栽培を続けるのは簡単ではありません。そのぶん、ワインにはぶどうそのもののみずみずしい香りが表れると評されています。栽培や認証の考え方はオーガニックワインの記事も参考になります。
アンフォラで仕込む醸造
醸造でとくに目を引くのが、スペインから直輸入した17基のアンフォラです。アンフォラは素焼きの大きなかめで、古代からワインの容器として使われてきました。収穫したぶどうは除梗機で房から外したあと足で破砕し、アンフォラなどに入れて自然に発酵させます。ステンレスタンクも併用し、ワインによってアンフォラとタンクを使い分けたり、両方で熟成させたものを合わせたりしています。
果皮ごと発酵させる「スキンコンタクト」を取り入れたワインもあり、白ぶどうを皮ごと仕込んだオレンジ色のワインもあります。ワインと容器の歴史に興味があれば、ワインの歴史の記事もあわせてどうぞ。
使うぶどうと主なワイン
グレープリパブリックの特徴のひとつが、山形で昔から育てられてきた生食用のぶどうを積極的にワインにしていることです。デラウェア、ナイアガラ、スチューベン、ネオマスカット、シャインマスカット、ロザリオビアンコなどのほか、メルローや甲州も育てています。
銘柄はイタリア語の名前が多く、たとえば次のようなワインが出ています(品種の割合はヴィンテージによって変わります)。
- ロザート … スチューベン、デラウェア、ナイアガラ、ネオマスカットなどをブレンドした辛口のロゼ
- ローザ … デラウェアとスチューベンを使った微発泡のロゼ
- アランチョーネ … デラウェアを主体に、果皮ごと発酵させた辛口のオレンジワイン
- アンフォラ・ロッソ … スチューベンやネオマスカットをアンフォラで皮ごと発酵させたワイン
- ヌメロドゥエ … 自社農園のデラウェア100%をアンフォラで熟成させたワイン
無ろ過で造られるものも多く、瓶の底におりが沈んでいることがあります。ロゼ全般についてはロゼワインの記事にまとめています。
楽しみ方と注意点
酸化防止剤を加えないナチュラルワインは、温度の変化に弱いものがあります。買ったあとは涼しく暗い場所、できれば冷蔵庫やワインセラーで保管すると安心です。開けたあとはなるべく早めに飲みきり、香りや味が日ごとにどう変わるかを楽しむのもひとつの方法です。
ぶどうの香りがはっきりしたロゼや微発泡のワインは、よく冷やして、から揚げや焼き鳥、山形の芋煮など、気取らない料理と合わせやすいタイプです。オレンジワインは、スパイスを使った料理や発酵食品と合わせてみるのも楽しいでしょう。ヴィンテージによって出る銘柄や品種の構成が変わることもあるので、選ぶときは酒販店やワイナリーの説明を確かめるのがおすすめです。
まとめ
グレープリパブリックは、元サービスマンの藤巻一臣さんが2015年に山形県南陽市で立ち上げた、ナチュラルワインのワイナリーです。天然酵母だけで発酵させ、補糖・補酸や酸化防止剤の添加をせず、スペインのアンフォラも使ってワインを造っています。デラウェアやスチューベンなど山形の生食用ぶどうを生かしたロゼやオレンジワインが多く、日本のぶどうの新しい魅力を感じられる造り手です。日本ワイン全体の流れは日本ワインの記事で紹介しています。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。



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