ボジョレー・ヌーヴォーとは、フランス・ブルゴーニュ地方の南に広がるボジョレー地区で、その年に収穫したブドウから造られる新酒の赤ワインです。主な品種はガメイ(ガメ)で、毎年11月の第3木曜日に販売が解禁されます。色は明るく、いちごやさくらんぼのような香りと軽やかな味わいが特徴で、長く寝かせずに「その年のうちに楽しむ」ワインです。
ボジョレー・ヌーヴォーの基本
「ヌーヴォー(nouveau)」はフランス語で「新しい」という意味です。日本語では「ボジョレー・ヌーボー」「ボージョレ・ヌーヴォー」「ボジョレ・ヌーボー」など、さまざまな書き方がされますが、どれも同じワインを指しています。
ボジョレーの赤ワインはガメイ種で造ることが原産地呼称(AOC)で定められています。ヌーヴォーは、普通のボジョレーと同じ産地・品種のワインを、収穫から数週間〜2か月ほどの短い期間で仕上げて出荷するものです。より限られた村で造られる「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー」もあります。
造り方の特徴
ヌーヴォーの多くは「マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬法)」という方法で造られます。ブドウをつぶさずに房ごとタンクに入れ、炭酸ガスで満たした中に置くと、粒の中で酵素の働きによって発酵が始まります。こうすると渋みが少なく、果実の香りが豊かなワインを短い期間で造ることができます。バナナやキャンディーのような甘い香りを感じることがあるのも、この造り方によるものです。
解禁日の仕組み
ボジョレー・ヌーヴォーには、これより前に売ったり飲ませたりしてはいけない「解禁日」が決まっています。かつては生産者が少しでも早く出荷しようと競い合い、十分にできあがっていないワインまで出回るようになったことから、解禁日が設けられたといわれます。
- 当初の解禁日は11月11日で、その後11月15日に改められました。
- 1985年からは「11月の第3木曜日」となり、現在まで続いています。
- 解禁はそれぞれの国の現地時間で、木曜日の午前0時です。
第3木曜日は、毎年11月15日から21日のどこかになります。日本は時差の関係で、主要な国の中でも早く解禁の時間を迎えるため、解禁日に間に合うよう、ワインとしては例外的に飛行機で運ばれてきます。日本ではバブル期の1980年代後半に大きなブームとなり、1990年代後半から2000年代にかけて再び人気が高まりました。
| 年 | 解禁日 |
|---|---|
| 2019年 | 11月21日(木) |
| 2025年 | 11月20日(木) |
| 2026年 | 11月19日(木) |
歴代キャッチコピーと2019年の評価
ボジョレー・ヌーヴォーといえば、毎年話題になる「キャッチコピー」です。日本で広まった「100年に1度の出来」といった派手な言葉の多くは、輸入業者や販売店などが付けた宣伝文句です。一方、現地の生産者団体であるボジョレーワイン委員会も、毎年その年の品質についての見解を出しており、こちらは比較的落ち着いた表現になっています。
販売業者などによる評価の例
| 年 | キャッチコピー(報道などで紹介されたもの) |
|---|---|
| 2003年 | 110年ぶりの当たり年 |
| 2005年 | タフな03年とはまた違い、本来の軽さを備え、これぞ「ザ・ヌーボー」 |
| 2009年 | 過去最高と言われた05年に匹敵する50年に一度の出来 |
| 2011年 | 100年に1度の出来とされた03年を超す21世紀最高の出来栄え |
| 2015年 | 過去にグレートヴィンテージと言われた2009年を思い起こさせます |
ボジョレーワイン委員会による評価の例
| 年 | 品質についての見解(日本語訳) |
|---|---|
| 2009年 | 数量は少なく、完璧な品質。桁外れに素晴らしい年 |
| 2017年 | 豊満で朗らか、絹のようにしなやか、しかもフレッシュで輝かしい |
| 2018年 | 2017年・2015年・2009年と並び、珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれる |
| 2019年 | 有望だが、生産者のテクニックが重要な年 |
| 2020年 | 非常にバランスが取れた爽やかさのある仕上がり |
| 2021年 | 挑戦の末たどり着いた、納得のヌーヴォー |
| 2022年 | 太陽に恵まれたヴィンテージ、果実味とストラクチュアの完璧なバランス |
日本語訳は紹介する媒体によって少しずつ言い回しが違います。2019年は、11月21日に解禁された年で、委員会の評価は「よいワインになる見込みはあるが、造り手の腕によって差が出る年」というニュアンスのものでした。毎年「最高」とうたわれるのがある種のお約束になっていることもあり、キャッチコピーは味の保証というより、その年の話題づくりとして楽しむのがよさそうです。
値段が決まる仕組み
ボジョレー・ヌーヴォーの値段は、同じくらいの品質のふつうの輸入ワインより高めになりがちです。主な理由は次のとおりです。
- 空輸のコスト:解禁日に間に合わせるため、船便ではなく航空便で運ばれます。燃料費や航空運賃が上がると、そのまま価格に響きます。2022年は航空運賃の高騰などで、各社の販売価格が過去最高水準になったと報じられました。
- 為替:ユーロ高・円安になると輸入価格が上がります。
- 瓶と容器:重いガラス瓶より軽いペットボトル入りの商品は、輸送コストを抑えられるぶん手ごろになる傾向があります。
- 生産者と格付け:有名な生産者のものや、ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー、樹齢の高いブドウを使ったものなどは高めです。
近年は日本の市場が縮小しており、報道によると2024年の輸入量はピーク時のおよそ7分の1にまで減りました。国内の大手酒類メーカーにも販売をやめる動きが出ています。手に入れたいときは、予約販売の時期や扱う店を早めに確かめておくと安心です。
おいしい飲み方と合う料理
ボジョレー・ヌーヴォーは渋みが少なく軽やかなので、少し冷やして飲むのがおすすめです。冷蔵庫で30分〜1時間ほど冷やし、12〜14℃くらいを目安にすると、果実の香りが生き生きと感じられます(ワインの適温)。
料理は、生ハムやパテ、ソーセージなどのシャルキュトリー、鶏肉のロースト、きのこのソテーなどがよく合います。和食なら、焼き鳥のたれや肉じゃがのようなやさしい甘辛味とも合わせやすいワインです。ソーセージとの組み合わせはソーセージの記事もどうぞ。
ヌーヴォーは熟成させて楽しむワインではないので、買ったら年内、遅くとも年明けくらいまでに飲みきるのが基本です。新酒のワインについては生ワインの記事でも触れています。
まとめ
ボジョレー・ヌーヴォーは、ボジョレー地区のガメイで造られる新酒の赤ワインで、1985年から毎年11月の第3木曜日に解禁されています。毎年話題になるキャッチコピーには、輸入業者などの宣伝文句と、現地の委員会による品質評価の2種類があり、2019年の委員会の評価は「有望だが、生産者のテクニックが重要な年」でした。値段は空輸費や為替で動くので、予約時期や容器の違いも見比べて選んでみてください。フランスワイン全体の中での位置づけはブルゴーニュワインやワインの基本もあわせてどうぞ。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。



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