熊本ワインとは?菊鹿ワインとシャルドネが評価される理由と2つのワイナリー

熊本ワインとは?菊鹿ワインとシャルドネが評価される理由と2つのワイナリー 食文化

熊本ワインとは、熊本ワインファーム株式会社が熊本県内のぶどうで造るワインのことで、とくに山鹿市菊鹿町(きくかまち)で育てたシャルドネを使う「菊鹿シャルドネ」がよく知られています。1999年に熊本市で創業し、2018年には菊鹿町にもワイナリーを開きました。「菊鹿ワイン」と呼ばれることもあるシャルドネの白は、国内外のコンクールで評価を受けている、九州を代表する日本ワインのひとつです。

熊本ワインの成り立ち

熊本ワインの醸造所は、1999年に熊本市(現在の北区和泉町)で創業しました。熊本ワインファームは、このときから県内のぶどうを使ったワイン造りを続けています。

創業と同じ年に、ワイン用ぶどうを契約栽培してもらうための「菊鹿町葡萄生産振興会」がつくられ、菊鹿町の畑にシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンが植えられました。熊本県の北部にある菊鹿町はもともと生食用ぶどうの産地でしたが、ここからワイン用品種の栽培が始まります。

早くから成果も出ています。2003年には「菊鹿ナイトハーベスト シャルドネ 2003」が国内のワインコンクールで金賞を受け、菊鹿のシャルドネの名前が知られるきっかけになりました。

熊本ワイナリーと菊鹿ワイナリー

現在、熊本ワインファームは2つのワイナリーを持っています。

ワイナリー 場所 特徴
熊本ワイナリー 熊本市北区和泉町 1999年開業。熊本城から車で15分ほどの、市街地に近い醸造所
菊鹿ワイナリー 山鹿市菊鹿町 2018年開業。自社農園と醸造所に、ワインショップやレストランを備える

熊本ワイナリーは、町なかからも行きやすい「都市近郊型」の醸造所です。一方の菊鹿ワイナリーは、より産地に根ざしたワイン造りをするためにぶどう畑のある菊鹿町に建てられました。ショップでワインを選べるほか、レストランやシャルキュトリ(ハム・ソーセージなどの加工肉)、ワイナリーツアーも用意されています。訪ねるときは、営業日や予約の要否を公式サイトで確認しておくと安心です。

菊鹿町はどんな産地?

菊鹿町は、標高200〜250メートルほどの山に囲まれた盆地です。熊本ワインファームの説明によると、年間の降水量は2,000ミリほどと全国平均より多い一方、日照時間も年間2,000時間を超え、全国平均を上回ります。土は排水のよい粘土質で、山砂を含んで水はけがよいのが特徴です。

雨の多さは、ぶどうにとっては病気の原因になりやすい弱点です。そこで菊鹿の畑では、ボタン操作で開け閉めできるビニールの屋根を一部の畑に取り入れたり、地中に排水路(暗渠)を通したりして、雨への対策を重ねています。仕立ては日本で多い棚栽培で、機械化しやすいように工夫しているといいます。

栽培の中心はシャルドネで、10ヘクタール近くが植えられています。そのほか白ではゲヴュルツトラミネール、ヴィオニエ、赤ではカベルネ・フラン、メルロー、ガメイ、ピノ・ノワールなども育てています。

代表銘柄・菊鹿シャルドネ

熊本ワインの顔といえるのが「菊鹿シャルドネ」です。ステンレスタンクで熟成させたワインと、フレンチオークの樽で約1年熟成させたワインをブレンドして造られます。タンク由来の果実味と、樽由来のふくよかさをあわせ持つ白ワインです。

さらに樽の風味を前に出した「菊鹿シャルドネ 樽熟成」もあり、こちらはステンレスタンクで発酵させたあと、フレンチオーク樽で熟成させています。夜に収穫することを名前に掲げた「菊鹿ナイトハーベスト」も、菊鹿のシャルドネを代表する銘柄です。

受賞歴も重ねていて、日本ワインコンクール2022では金賞と部門最高賞を受けたワインがあり、フランスで開かれるシャルドネだけのコンクール「シャルドネ・デュ・モンド」でも、2022年に銀賞、2026年には金賞を受けたことが公式に紹介されています。品種の基本はシャルドネの記事にまとめています。

県内のぶどうを使う「醸音」シリーズ

熊本ワインは、シャルドネのような醸造用品種だけでなく、熊本県内で育つ生食用ぶどうのワインにも力を入れています。公式サイトで紹介されている品種には、ナイアガラ、キャンベルアーリー、デラウェア、マスカット・ベーリーA、巨峰などがあります。

「醸音」シリーズは、こうした品種を使ったワインです。デラウェア、マスカット・ベーリーA、ナイアガラ、キャンベルのほか、デラウェアのスパークリングも出ています。ほかにも「玉名マスカットベーリーA」「巨峰のしずく」など、県内の産地や品種の名前を冠したワインがそろっています。甘い香りが特徴のナイアガラについてはナイアガラワインの記事も参考にしてください。

熊本ワインの楽しみ方

樽の風味がある菊鹿シャルドネは、クリーム系のパスタや鶏肉のソテー、白身魚のバター焼きなど、コクのある料理と合わせやすい白ワインです。冷やしすぎると香りが閉じやすいので、冷蔵庫から出して少し置いてから飲むと香りがひらきやすくなります。温度の考え方はワインの温度の記事にまとめています。

デラウェアやナイアガラのワインは、ぶどうらしい香りが楽しめるタイプが多く、ワインに慣れていない人にも取っつきやすい味わいです。熊本の郷土料理と合わせるなら、からし蓮根や馬刺しなどとの組み合わせを試してみるのも楽しいでしょう。日本各地の日本ワインについては日本ワインの記事で紹介しています。

まとめ

熊本ワインは、1999年に熊本市で創業した熊本ワインファームが、県内のぶどうで造る日本ワインです。創業と同時に菊鹿町でシャルドネの栽培を始め、2018年には産地の菊鹿町にワイナリーを開きました。雨の多い土地で屋根かけや排水の工夫を重ねて育てたシャルドネは「菊鹿シャルドネ」として国内外で評価され、デラウェアやナイアガラなど県内のぶどうを使う醸音シリーズもあります。熊本の日本ワインを知りたいときは、まず菊鹿シャルドネから手に取ってみるとよいでしょう。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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