グリューワインとは?冬のヨーロッパの文化と家庭での作り方

グリューワインとは?冬のヨーロッパの文化と家庭での作り方 食文化

グリューワインとは、赤ワインにシナモンやクローブなどのスパイス、オレンジなどの柑橘、砂糖やはちみつを加えて温めた飲みものです。ドイツ語の「Glühwein(グリューヴァイン)」が語源で、ドイツやオーストリアなどでは冬、とくにクリスマスの時期に欠かせない存在です。日本では「ホットワイン」とも呼ばれ、家庭でも鍋ひとつで手軽に作れます。

グリューワインの由来と名前

「グリューエン(glühen)」はドイツ語で「赤く燃える、熱く輝く」という意味で、温めたワインの様子からこの名前がついたといわれます。ワインを温めてスパイスを加える飲み方そのものは古く、古代ローマの時代にはすでに温めたワインが飲まれていたとされ、中世ヨーロッパではスパイスと甘みを加えたワインが薬用や贅沢な飲みものとして親しまれていました。

同じような飲みものは、ヨーロッパ各地に違う名前で根づいています。

国・地域 呼び名 特徴
ドイツ・オーストリア グリューワイン(Glühwein) 赤ワインにシナモン、クローブ、八角、オレンジなど
フランス ヴァン・ショー(vin chaud) 「熱いワイン」の意味。アルザスでは白ワインで作るものもある
イタリア ヴィン・ブルレ(vin brulé) 北部の山岳地帯などで冬に飲まれる
北欧 グロッグ(Glögg) レーズンやアーモンドを浮かべて飲むことが多い
イギリス・英語圏 マルドワイン(mulled wine) クリスマスの定番の飲みもの

「ホットワイン」という呼び方は和製英語で、英語では一般に「マルドワイン」と呼ばれます。

クリスマスマーケットと冬の文化

グリューワインの風景としてよく知られているのが、ドイツやオーストリアなどで11月中旬から下旬ごろに始まるクリスマスマーケットです。広場に屋台が並び、人々は湯気の立つグリューワインを手に、寒さの中で買いものやおしゃべりを楽しみます。

マーケットでは、その年や町ごとに柄の違う陶器のマグカップで出されることが多く、カップ代を預かり金として払い、返すと戻ってくる仕組みが一般的です。カップを記念に持ち帰る人も少なくありません。ラム酒などの蒸留酒を少し加えたものは「グリューヴァイン・ミット・シュス(一振り入り)」と呼ばれます。子ども向けには、ぶどうジュースなどにスパイスを効かせたノンアルコールの「キンダープンシュ」も用意されます。

日本でも、冬になると各地でクリスマスマーケットが開かれるようになり、グリューワインを楽しめる機会が増えました。

家庭での作り方

グリューワインに高価なワインは必要ありません。果実味のある手ごろな赤ワインで十分おいしく作れます。

材料(2〜3人分)

  • 赤ワイン:1本(750ml)
  • オレンジ:1/2個(皮ごと輪切り。皮はよく洗う)
  • シナモンスティック:1本
  • クローブ:3〜4粒
  • 八角(スターアニス):1個(なくてもよい)
  • 砂糖またははちみつ:大さじ2〜4(好みで調整)
  • しょうがの薄切り、カルダモンなど:好みで少量

作り方

  1. 鍋にワイン以外の材料と、ワインを少量(100mlほど)入れ、弱火で温めて砂糖を溶かし、スパイスの香りを移します。
  2. 残りのワインを加え、弱火でゆっくり温めます。
  3. 鍋のふちに小さな泡が出てきたら火を止めます。沸騰させないのが大事なポイントです。
  4. ふたをして5〜10分ほど置き、香りをなじませてから、こしてカップに注ぎます。

沸騰させると、アルコールと一緒に香りが飛び、スパイスの苦みや渋みが出やすくなります。温度の目安は70℃前後、湯気が立つくらいで十分です。市販のグリューワイン用ミックススパイスを使えば、さらに手軽に作れます。

アレンジとノンアルコール版

  • 白ワインで:白ワインにレモンやりんご、はちみつを合わせると、すっきりした味わいになります。フランス・アルザスでは白ワインのヴァン・ショーも親しまれています。
  • 果物を足す:りんごや洋なしの薄切り、ベリー類を加えると、フルーティーで飲みやすくなります。
  • ノンアルコール版:ぶどうジュースやりんごジュースで同じように作れば、子どもやお酒を飲まない人も楽しめます。

なお、温めてもアルコールはすべて飛ぶわけではありません。グリューワインはお酒として扱い、運転する人や子ども、お酒を控えている人には、ジュースで作ったものを用意しましょう。

日本でも、岩手のエーデルワインのように、温めて飲むためのワインを商品化しているワイナリーがあります。

グリューワインに向く赤ワインの選び方

グリューワインに使うワインは、渋みが強すぎず、果実味の豊かなものが向いています。渋みの強いワインを温めると、渋みや苦みが目立ちやすくなるためです。

  • 向いているもの:メルロ、ガメイ、マスカット・ベーリーA、グルナッシュなど、果実味がありやわらかな赤ワイン。
  • 避けたいもの:熟成した高級ワインや、渋みのとても強いワイン。香りの繊細さが温めることで失われてしまいます。

飲み残しの赤ワインを使ってもかまいません。開けてから日がたって酸味が気になってきたワインも、スパイスと甘みを加えて温めると、おいしく生まれ変わります。

作り置きと温め直し

多めに作った場合は、スパイスと果物をこして取り出し、粗熱をとってから密閉できる容器で冷蔵庫に入れ、早めに飲みきりましょう。スパイスを入れたままにすると、苦みが出てくることがあります。温め直すときも、沸騰させないよう弱火か電子レンジで少しずつ温めます。

まとめ

グリューワインは、赤ワインにスパイスと柑橘、甘みを加えて温める、ドイツ語圏の冬の飲みものです。クリスマスマーケットの風物詩として知られ、フランスのヴァン・ショー、北欧のグロッグ、英語圏のマルドワインなど、各地に似た飲みものがあります。家庭では、手ごろな赤ワインを使い、沸騰させずにゆっくり温めるのがおいしく作るコツです。赤ワイン選びに迷ったら赤ワインの基本や安くておいしいワインも参考にしてください。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

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