生イーストとは、パン作りに使う酵母(パン酵母)を培養し、水分を含んだまま固めた粘土のようなイーストのことです。ドライイーストは、この生イーストを乾燥させて粒状などにしたもので、中身は同じパン酵母です。日本のパン屋では生イーストが広く使われていて、冷蔵で保存し、3〜4週間ほどで使いきるのが目安とされています。
生イーストの特徴
生イーストは、うすいベージュ色をした、しっとりとやわらかいブロック状のイーストです。指で押すとほろっと崩れ、独特の発酵の香りがあります。国内でイーストを製造するオリエンタル酵母工業によると、酵母製品は約70%が水分で、残りの約30%がたんぱく質や炭水化物、脂質などです。生きた酵母がそのままの状態で入っているので、温度や時間の管理が大切になります。
日本の製パンの現場では生イーストが大半を占めていて、安定した性能と優れた発酵力が特徴とされています。パン屋が毎日大量のパンを焼くときにも、発酵の具合をそろえやすいイーストです。
ドライイーストとの違い
| 種類 | 形状 | 使い方 | 保存 |
|---|---|---|---|
| 生イースト | 水分を含んだブロック状 | 崩して水に溶かすか、生地に直接混ぜる | 冷蔵(5℃以下)。冷凍はできない |
| インスタントドライイースト | 顆粒状 | 粉に直接混ぜて使える | 未開封は常温、開封後は密閉して冷蔵・冷凍が一般的 |
| ドライイースト(アクティブドライイースト) | 粒状 | ぬるま湯に溶かして予備発酵させてから使う | 製品の表示に従う |
家庭のパン作りでは、計量しやすく常温で保存できるインスタントドライイーストが主流です。生イーストは、パン屋やパン教室で使われることが多く、家庭向けには製菓材料店などで小分けにしたものが売られています。
生イーストとドライイーストは、水分の量が大きく違います。ドライイーストは水分が抜けている分、同じ働きをさせるのに必要な量が生イーストよりずっと少なくてすみます。置き換えの比率は製品やレシピによって違うので、使うイーストの袋の表示や、製パン書の換算表を確認してください。
生イーストの使い方
生イーストは、手でほぐしてから使います。使い方はレシピによって次の2通りがあります。
- 仕込み水の一部に溶かす:生イーストを細かく崩し、レシピの水の一部に入れてよく溶かしてから、粉に加える。生地全体にむらなく行き渡りやすい
- 粉に直接崩し入れる:細かくほぐした生イーストを粉に混ぜ、水を加えてこねる
酵母がもっとも活発に働くのは30℃前後です。溶かす水が熱すぎると酵母が弱ったり死んだりするので、熱湯は使いません。また、塩や砂糖と直接長い時間触れさせると酵母の働きに影響することがあるので、計量したらそれぞれ分けておき、こねる直前に合わせるようにします。
生イーストは、発酵の香りがやわらかく、生地の伸びがよいといわれ、食パンや菓子パン、フランスパンなど幅広いパンに使われます。フランスパンに使う粉についてはリスドォルや準強力粉の記事で紹介しています。
保存方法と期限の目安
生イーストは生きた酵母なので、保存の仕方で発酵力が大きく変わります。オリエンタル酵母工業は、次のような扱いを案内しています。
- 5℃以下の冷蔵庫で保管する
- 冷凍はできない。凍らせると、解凍しても使えない場合がある
- 賞味期限はおよそ3〜4週間
- 常温に置いたままにした生イーストは、発酵力や衛生状態が保証できないので使わない
家庭では、使う分だけ切り分けたら、残りはラップでぴったり包んで乾燥を防ぎ、密閉容器に入れて冷蔵庫に入れます。表面が乾いてかたくなったり、色が濃く変わったり、いやなにおいがしたりする場合は使わないようにします。購入したら、期限内に使いきれる量かどうかを考えて選ぶのがポイントです。
日本のイーストの歩み
日本では、1929年に日本初の製パン用イースト製造会社としてオリエンタル酵母工業が設立され、国産のイーストづくりが本格的に始まりました。それまでは輸入のイーストや、酒種などのパン種に頼る時代が続いていました。国産のイーストが安定して手に入るようになったことで、パンの大量生産が進み、日本の食卓にパンが広がる土台になりました。日本のパンの歩みは日本のパンの歴史で紹介しています。
なお、イーストも自然界の酵母からパン作りに向くものを選び出して育てたものです。果物や穀物から起こした酵母種との違いは天然酵母パンの記事で説明しています。
まとめ
生イーストは、パン酵母を水分を含んだまま固めたイーストで、ドライイーストはそれを乾燥させたものです。日本のパン屋では生イーストが主流で、安定した発酵力が特徴です。保存は5℃以下の冷蔵で、冷凍はできず、期限はおよそ3〜4週間が目安です。ドライイーストと置き換えるときは、水分の違いを考え、製品の表示や換算表に従って量を調整してください。



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