オレキエッテとは、イタリア南部プーリア州の伝統的なショートパスタで、名前は「小さな耳」という意味です。デュラム小麦のセモリナと水で作る生地を、指先やナイフで引きずるようにして丸くくぼませた形をしていて、菜の花の仲間チーメ・ディ・ラーパと合わせる「オレキエッテ・コン・レ・チーメ・ディ・ラーパ」がいちばん有名な食べ方です。この記事では、オレキエッテの特徴や作り方、定番の料理を紹介します。
オレキエッテの特徴と名前の由来
オレキエッテ(orecchiette)は、イタリア語で耳を意味する「orecchio(オレッキオ)」に、「小さい」を表す語尾がついた言葉です。親指の先ほどの大きさの丸い形で、中央が浅くくぼみ、ふちが少し厚くなっています。その姿が小さな耳に見えることから、この名前で呼ばれるようになりました。
表面はざらっとしていて、くぼみの内側にソースや細かく刻んだ野菜がたまりやすいのが特徴です。もっちりとした厚みのあるふちと、薄いくぼみの部分とで食感が違い、ひと粒の中に歯ごたえの変化があります。
プーリア州の州都バーリでは、方言で「ストラシナート(strasc’nat)」とも呼ばれます。「引きずる」という意味の言葉で、生地を板の上で引きずって作る動作から来ています。ターラント周辺など、地域によって別の呼び名もあります。
生地と作り方
オレキエッテは、南イタリアの手打ちパスタらしく、卵を使わずにデュラム小麦のセモリナと水、塩で作るのが基本です。卵入りの北イタリアの生パスタと比べると、色は淡い黄色で、かみしめるような弾力があります。
- セモリナに水を少しずつ加えてこね、なめらかな生地にして休ませます
- 生地を指くらいの太さの棒状にのばし、小さく切り分けます
- 切ったひとかけらを、刃先の丸いナイフや指先で台の上に押しつけながら手前に引きずります
- 薄くのびて丸まった生地を、指にかぶせるように裏返すと、耳のような形になります
引きずるときに木の台を使うと、表面にほどよいざらつきが出て、ソースがからみやすくなります。慣れるまでは形がそろいにくいですが、手作りの場合は多少のばらつきがあっても味わいのうちです。乾燥タイプのオレキエッテも市販されていて、家庭ではこちらが手軽です。
バーリの旧市街では、家の前に台を出してオレキエッテを手作りする女性たちの姿が知られ、町を象徴する風景のひとつになっています。
オレキエッテ・コン・レ・チーメ・ディ・ラーパ
オレキエッテの代表的な料理が、「オレキエッテ・コン・レ・チーメ・ディ・ラーパ(orecchiette con le cime di rapa)」です。チーメ・ディ・ラーパは、かぶの仲間の葉やつぼみを食べるアブラナ科の野菜で、ほろ苦さが特徴です。冬から春にかけてプーリアの畑でよくとれ、オレキエッテとの組み合わせはバーリを代表する郷土料理として知られています。
作り方はシンプルで、オレキエッテとチーメ・ディ・ラーパを同じ鍋でゆで、にんにくや赤唐辛子、アンチョビをオリーブオイルで温めたフライパンで和えます。野菜がくたっとするまで火を通し、ソースのようにパスタにからめるのがポイントです。
日本で作るときの代わりの野菜
日本ではチーメ・ディ・ラーパはあまり出回りませんが、同じアブラナ科の菜の花やブロッコリー、ブロッコリーの若い茎の部分などで作るレシピが多く見られます。菜の花のほろ苦さは、もとの料理の雰囲気に近い仕上がりになります。
- アンチョビは油でじっくり温めて溶かすと、塩気とうまみが全体に行きわたります。アンチョビの使い方も参考にしてください
- オリーブオイルは仕上げに少し回しかけると香りが立ちます。選び方はオリーブオイルの記事で紹介しています
オレキエッテに合うソース
くぼみのある形は、具が細かく、ソースがとろりとしたものによく合います。チーメ・ディ・ラーパ以外では、次のような組み合わせがあります。
| ソース・料理 | 特徴 |
|---|---|
| トマトソース | くぼみにトマトがたまり、シンプルでも満足感がある |
| 肉のソース | 細かい肉のソースや、肉を煮込んだトマトソース。煮込みソースはラグーソースの記事で紹介 |
| 野菜のソテー | ブロッコリーやカリフラワー、ズッキーニなどを刻んでオイルで和える |
| サルシッチャ(生ソーセージ) | ほぐしたソーセージと野菜を合わせると、ボリュームのある一皿に |
反対に、さらっとした液状のソースや、大きな具がごろごろ入ったソースは、くぼみの良さが生きにくくなります。ショートパスタ全体の選び方はパスタの種類の一覧もご覧ください。
ゆで方と保存
乾燥オレキエッテは厚みがあるため、ゆで時間はやや長めです。袋の表示を目安にし、くぼみの部分とふちの部分の両方に火が通っているかを、ひとつ食べて確かめると安心です。重なったまま固まらないよう、ゆで始めにしっかり混ぜましょう。ゆで方の基本はパスタの茹で方にまとめています。
手作りしたオレキエッテは、打ち粉をした台に広げて表面を乾かしておけば、その日のうちに使えます。すぐに使わない分は、くっつかないように広げたまま冷凍してから袋に移す方法がよく紹介されています。冷凍したものは解凍せずにそのままゆでます。
まとめ
オレキエッテは、プーリア州で生まれた「小さな耳」の形をしたパスタで、セモリナと水の生地を指先やナイフで引きずって作ります。ざらっとした表面と中央のくぼみにソースがよくからみ、もっちりとした弾力があります。代表的な料理は、ほろ苦いチーメ・ディ・ラーパにアンチョビやにんにくを合わせたバーリの郷土料理で、日本では菜の花やブロッコリーで作ると手軽です。乾燥タイプも手に入るので、ショートパスタのひとつとして気軽に取り入れてみてください。



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