ラグーソースとは、肉を香味野菜やワイン、トマトなどと一緒に時間をかけて煮込んだイタリアのソースの総称です。ボロネーゼはその一種で、ボローニャ風のラグー(ragù alla bolognese)のことを指します。つまり「ラグー」は大きなくくり、「ボロネーゼ」はその中の地方の一品、という関係です。
ラグーとは何か
ラグー(ragù)という言葉は、フランス語の煮込み料理「ラグー(ragoût)」から来たといわれています。イタリアでは、肉を細かく刻んだりひいたりして、あるいは塊のまま、長い時間かけて煮込んだソースを広くラグーと呼びます。使う肉は牛、豚、子羊、いのしし、うさぎなど地域や家庭によってさまざまで、トマトを使わない白いラグー(ラグー・ビアンコ)もあります。
日本では「ラグーソース」というと、ひき肉をトマトで煮込んだミートソースに近いものを思い浮かべる人が多いかもしれません。ただ本来は、肉のうまみをじっくり引き出した煮込みソース全般を指す、幅の広い言葉です。
地方ごとのいろいろなラグー
イタリアの各地には、その土地の食材を使ったラグーがあります。トスカーナ地方では、いのししの肉を赤ワインで煮込んだラグーがよく知られ、幅広のパスタと合わせられます。ほかにも、うさぎや鴨、子羊などの肉を使ったもの、肉を細かく刻んで煮込むもの、きのこを加えたものなど、家庭や店ごとに味が受け継がれています。
共通しているのは、肉のうまみを時間をかけて引き出すことと、パスタとからめて食べることを前提に、汁気を適度に煮詰めることです。ひとくちに「ラグー」といっても、地方の数だけ味があると考えるとわかりやすいでしょう。
ボロネーゼとの違い
ボロネーゼは、エミリア=ロマーニャ州の都市ボローニャのラグーです。イタリア料理アカデミー(Accademia Italiana della Cucina)は1982年10月17日に、ボローニャの商工会議所にこのラグーのレシピを登録しました。さらに2023年4月20日には、手に入りにくくなった牛肉の部位の指定をなくすなど、内容を見直したレシピをあらためて登録しています。
2023年のレシピでは、牛ひき肉と生の豚バラ肉(パンチェッタ)を使い、玉ねぎ・にんじん・セロリをオイルで炒め、ワインを加え、トマトピューレと少量のトマトペーストで煮込み、好みで牛乳を加える、という流れが示されています。トマトはあくまで肉のうまみを支える役で、日本のミートソースほどトマトの存在感は強くありません。
| 種類 | 肉の形 | 特徴 | 合わせるパスタ |
|---|---|---|---|
| ボローニャ風(ボロネーゼ) | ひき肉 | 香味野菜とワインで煮込む。トマトは控えめで、牛乳を加えることもある | タリアテッレ、ラザニア |
| ナポリ風 | 塊肉 | 塊の肉をトマトで長時間煮込む。ソースはパスタに、肉は別の皿に | パッケリ、ジーティなど太めのパスタ |
| 白いラグー(ビアンコ) | ひき肉や刻んだ肉 | トマトを使わず、ワインやブロードで煮る | 幅広パスタ、ショートパスタ |
| 日本のミートソース | ひき肉 | トマトの甘みと酸味が前に出た、日本で広まった味 | スパゲッティ |
ボローニャでは何と合わせるか
日本ではボロネーゼをスパゲッティと合わせるのが一般的ですが、ボローニャでは、卵を練りこんだ幅広の平麺タリアテッレと合わせるのが伝統的な食べ方とされています。ほかに、ラグーとベシャメルソースを生地と重ねて焼く緑色のラザニアも、ボローニャの代表的な料理です。
海外で広まった「スパゲッティ・ボロネーゼ」は、地元の人からは本来の組み合わせではないといわれることがあります。ただ、ひき肉のソースは太めの麺によくからむので、家庭ではスパゲッティでも十分においしく食べられます。リガトーニやパッケリのような筒形のパスタ、四角い断面のキタッラなどもよく合います。
ナポリ風ラグーの特徴
ナポリのラグーは、牛肉や豚肉の塊、ときには肉で具を巻いたものをトマトと一緒に鍋に入れ、弱火で長い時間煮込みます。煮込んでいるうちに肉のうまみがトマトに溶け出し、濃く深い色のソースになります。
食べるときは、ソースをパスタとあえて最初の皿にし、煮込んだ肉はメインの皿として出すのが伝統的なスタイルです。日曜日や祝日に家族で囲む料理として語られることが多く、ボローニャのラグーとは同じ「ラグー」でもまったく違う料理です。
家庭で作るボロネーゼ風ラグーの手順
ボローニャのレシピを参考に、家庭で作りやすい形にまとめると次のような流れになります。分量は好みで調整してかまいません。
- 玉ねぎ、にんじん、セロリをそれぞれ細かいみじん切りにする
- 鍋にオリーブオイルを熱し、刻んだベーコンやパンチェッタを炒めて脂を出す
- 野菜を加え、焦がさないように弱めの火でしんなりするまで炒める
- ひき肉を加え、ほぐしながら水分が飛んで香ばしくなるまで炒める
- ワインを注いでアルコールを飛ばし、トマトピューレとトマトペーストを加える
- ブロード(スープ)を足しながら、ふたを少しずらして弱火で2時間ほど煮込む
- 好みで牛乳を加え、塩とこしょうで味をととのえる
ポイントは、肉をしっかり炒めて香ばしさを出すことと、焦らずに弱火で煮込むことです。たくさん作って小分けにし、冷凍しておくと、ラザニアやグラタン、ドリアにも使えて便利です。ベーコンやパンチェッタについてはベーコンの記事も参考にしてください。トマトの量を増やせば、日本のミートソースに近い味にもなります。トマトを主役にしたソースはトマトソースパスタの作り方も参考になります。
パスタとあえるときのコツ
- ゆで上がったパスタをソースの鍋に入れ、少量のゆで汁を加えて全体をからめる
- パルミジャーノ・レッジャーノをすりおろして加えると、うまみとコクが増す
- ソースは控えめにかけて全体にからめるくらいがイタリア流。上にたっぷりのせる日本のミートソースとは盛り方も違う
作りおきと保存の目安
ラグーは一度にたくさん作るほうが味が安定し、手間もかかりません。粗熱を取ったら清潔な容器に移して冷蔵し、数日のうちに食べきります。それ以上保存するなら、1回分ずつ保存袋に平らに入れて冷凍しておくと、必要な分だけ取り出して解凍できます。冷凍したものも、風味が落ちないうちに早めに使いきるのがおすすめです。温め直すときは、少量の水やゆで汁を加えてのばすと、煮詰まりすぎを防げます。
まとめ
ラグーは、肉をじっくり煮込んだイタリアのソースの総称で、ボロネーゼはボローニャのラグーを指します。ボローニャ風はひき肉を香味野菜とワインで煮込み、トマトは控えめ。タリアテッレやラザニアと合わせるのが伝統的です。ナポリ風は塊肉をトマトで煮込む別の料理で、太いパスタと合わせます。パスタの形とソースの相性はパスタの種類一覧で、パスタの歴史はパスタの歴史で紹介しています。



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