ブカティーニとは、スパゲッティより太く、中心に細い穴が1本通ったロングパスタです。イタリア中部のラツィオ州、とくにローマでよく食べられていて、豚ほほ肉の塩漬けとトマト、ペコリーノチーズで作る「ブカティーニ・アッラマトリチャーナ」が代表的な料理です。この記事では、ブカティーニの形や名前の由来、定番の料理、家庭でおいしく食べるコツを紹介します。
ブカティーニの特徴と名前の由来
ブカティーニ(bucatini)の名前は、イタリア語で「穴」を意味する「buco(ブーコ)」から来ています。見た目は太めのスパゲッティですが、断面を見るとストローのように中が空洞になっているのが特徴です。直径はおよそ3mm前後のものが多く、長さはスパゲッティと同じくらいです。太さはメーカーによって多少違います。
デュラム小麦のセモリナと水で作る乾燥パスタで、穴のある形は、生地を型から押し出す製法だからこそ作れるものです。
南イタリアのナポリ周辺では、同じようなパスタを「ペルチャテッリ(perciatelli)」と呼びます。「穴を開けた」という意味合いの名前で、呼び方が違うだけで、ほぼ同じパスタと考えてかまいません。
スパゲッティとの違い
ブカティーニとスパゲッティのいちばんの違いは、太さと中心の穴です。食べたときの印象も大きく変わります。
| 項目 | ブカティーニ | スパゲッティ |
|---|---|---|
| 断面 | 丸く、中心に穴がある | 丸く、中まで詰まっている |
| 太さ | 太め(3mm前後が多い) | 標準的な太さ |
| 食感 | 弾力が強く、もちっとした歯ごたえ | なめらかでしなやか |
| 向くソース | 脂やうまみの強い、濃いめのソース | 軽いものから濃いものまで幅広い |
| 主な地域 | ラツィオ州(ローマ)、ナポリ周辺 | イタリア全土 |
太くて弾力があるぶん、あっさりしたオイルソースだと麺の存在感が勝ってしまうことがあります。逆に、豚の脂やチーズのコクがしっかりあるソースとはよく釣り合います。ほかのロングパスタとの比較はパスタの種類の一覧でも紹介しています。
定番料理「ブカティーニ・アッラマトリチャーナ」
ブカティーニといえば、ローマの食堂で定番のアマトリチャーナです。アマトリチャーナは、ラツィオ州リエーティ県の山あいの町アマトリーチェの名前に由来するソースで、グアンチャーレ(豚ほほ肉の塩漬け)、トマト、ペコリーノ・ロマーノ、黒こしょうなどで作ります。アマトリーチェは1927年まではアブルッツォ側に属していた町で、羊飼いの食文化から生まれた料理だといわれます。
トマトを使わない、グアンチャーレとペコリーノ、黒こしょうだけの「グリーチャ」は、アマトリチャーナの原形とされることもあります。どちらもブカティーニとよく合わせられる料理です。
少し補足すると、アマトリーチェの町や、2020年にEUの伝統的特産品保証(STG)として登録された「アマトリチャーナ・トラディツィオナーレ」の規定では、パスタはスパゲッティを使うとされています。ローマではブカティーニで作るのが定番ですが、「アマトリチャーナには必ずブカティーニ」というわけではなく、地域によって選び方が違うということです。
家庭で作るときのポイント
- グアンチャーレは弱めの火でじっくり焼き、脂を引き出してからトマトを加えます。手に入らないときはパンチェッタやベーコンで代用されることが多いですが、風味は変わります
- ペコリーノ・ロマーノは塩気が強いので、ゆで汁の塩はやや控えめにすると味がまとまります。塩加減の考え方はパスタの塩の記事を参考にしてください
- ソースにゆで汁を少し加え、麺とよく合わせて乳化させると、太い麺にもソースがなじみます
ブカティーニに合うソース・料理
アマトリチャーナ以外にも、ブカティーニは次のようなソースによく合います。
- カーチョ・エ・ペペ:ペコリーノと黒こしょうだけで作るローマの料理。チーズのソースが太い麺にしっかりからみます
- 肉のソース:ひき肉や塊肉をトマトで煮込んだソース。煮込みソースについてはラグーソースの記事で紹介しています
- いわしやアンチョビのソース:魚のうまみの強いソースとも相性がよく、アンチョビを使った料理にも向きます
- トマトソース:シンプルなトマトソースパスタも、ブカティーニにするともっちりとした食べごたえが出ます
ゆで方と食べ方のコツ
ブカティーニは太さがあるので、ゆで時間は袋の表示をよく確認しましょう。一般的なスパゲッティより長めのことが多く、ソースと合わせる時間を考えて、表示より1分ほど早く引き上げるのが基本です。ゆで方全般はパスタの茹で方の記事にまとめています。
ゆでている途中は、麺どうしがくっつかないように最初にしっかり混ぜます。中に空洞があるため、引き上げたあとに穴の中のお湯が少し残ることがあります。ソースと合わせる前に軽く湯を切ると、味が薄まりにくくなります。
食べるときは、弾力があって麺がはねやすいので、少量ずつフォークに巻くのがコツです。トマトソースの料理では、はねてもよい服で食べると安心です。
まとめ
ブカティーニは、中心に穴の通った太めのロングパスタで、名前は「穴(buco)」に由来します。ローマを中心とするラツィオ州で親しまれ、ナポリ周辺ではペルチャテッリとも呼ばれます。代表的な料理は、グアンチャーレとトマト、ペコリーノで作るアマトリチャーナで、ほかにもグリーチャやカーチョ・エ・ペペなど、脂やチーズのコクがあるソースとよく合います。もちっとした弾力を生かして、濃いめのソースで楽しんでみてください。



コメント