フードデリバリーの配達員として複数のサービスに登録して掛け持ちすることは、業務委託で働く場合は一般的な働き方で、出前館は公式の募集ページで「副業や兼業はもちろん可能」としています。ただし、複数のアプリを同時にオンラインにして注文を受けること(同時受注)や、他社のバッグ・ロゴの扱い、配達中の優先順位などは、各社の規約やガイドラインで決まっていることがあり、この記事では断定できない点が多くあります。掛け持ちを始める前に、各社の規約とアプリ内の案内を自分で確認することがいちばん大事です。
この記事では、掛け持ちのやり方と注意点、規約で確認しておくべきことを整理します(2026年10月時点)。
掛け持ちとは:2つのやり方
掛け持ちには、大きく分けて次の2つのやり方があります。
- 時間やエリアで使い分ける:昼はAのサービス、夜はBのサービス、のように時間帯で分ける。または、ある街ではA、別の街ではB、と場所で分ける。1つの時間には1つのアプリだけを使うので、規約上の問題が起きにくいやり方です
- 同時にオンラインにする:複数のアプリを同時に開いて待機し、先に来た注文を受ける。待ち時間を減らせる可能性がある一方、各社の規約での扱いを確認する必要があり、配達の遅れや取り違えのリスクもあります
初めての人は、まず1社で配達の流れに慣れてから、時間やエリアで使い分ける形で2社目を試すのが無理のない順番です。
掛け持ちのメリット
- 注文が少ない時間を埋めやすい:サービスごとにエリアや時間帯の注文の多さが違うことがあり、片方が少ないときにもう片方を使える可能性があります
- 報酬の条件を比べられる:報酬の決まり方やキャンペーンはサービスごとに違います。実際に両方の条件を見て選べます
- 1社に頼らずに済む:アカウントの一時停止や、エリアの縮小・制度の変更があっても、ほかの選択肢が残ります
どのくらい収入が増えるかは、エリア・時間帯・件数・各社の報酬の条件で大きく変わり、掛け持ちをすれば必ず増えるとは限りません。3社の報酬の仕組みの違いは3社の比較にまとめています。
規約で確認すべきこと
配達員は多くの場合、各社と業務委託契約を結ぶ個人事業主です。会社員の副業禁止とは違い、ほかのサービスでの配達を一律に禁じているわけではないのが一般的ですが、契約の中身はサービスごとに違います。登録時に同意した規約・ガイドライン、アプリ内のヘルプで、次の点を確認してください。
| 確認すること | なぜ確認が必要か |
|---|---|
| 他社サービスとの兼業・併用の可否 | 契約形態(業務委託か、シフト制の法人パートナー経由かなど)によって条件が違うことがある |
| 複数アプリを同時にオンラインにしてよいか、同時受注の扱い | 配達中に別の注文を受けることを制限していたり、配達の遅れを評価の対象にしていたりする場合がある |
| 受注後のキャンセル・拒否の扱い | キャンセルが続くと、評価やアカウントに影響することがある |
| 配達バッグ・ウェアの扱い | 指定のバッグがある場合や、他社のロゴ入りのものを使ってよいかの決まりがある場合がある |
| シフトや稼働時間の約束 | シフト制で働く場合、その時間は他社の配達ができないことがある |
| 稼働時間の上限 | 連続して稼働できる時間に上限を設けている場合がある |
| 保険・補償の対象になる時間 | 補償は「そのサービスの配達中」が対象のことが多く、他社の配達中の事故は対象外になる |
このうち、出前館は2026年10月時点の公式募集ページで副業・兼業が可能であることを明記し、他社のフードデリバリーやドライバー業と兼業している人がいることにも触れています。一方、同時受注の可否や、ロケットナウ・Uber Eatsの他社併用についての規定は、公式の公開ページでは確認できませんでした。規約やアプリ内の案内で確認するか、各社のサポートに問い合わせてください。ロケットナウにはシフト制の法人パートナーを通じた働き方もあり、その場合は所属する会社との契約も確認が必要です。各社の働き方はロケットナウ配達員の始め方、Uber Eats配達パートナーの始め方、出前館配達員の始め方で紹介しています。
同時にオンラインにするときの注意点
規約上問題がないことを確認できたうえで同時にオンラインにする場合も、次の点には注意が必要です。
- 受けた注文を最優先にする:先に受けた注文を届け終わるまで、次の注文を受けない。料理が冷める・遅れると、注文者にも店舗にも迷惑がかかります
- 運転中にアプリを操作しない:通知が来ても、止まってから確認します。自転車でスマートフォンを手に持って通話・注視すると、2026年4月からは青切符(反則金1万2,000円)の対象です
- 受け取り・受け渡しの取り違えに注意:アプリごとに受け取り確認の手順が違います。どのアプリの注文か、店頭で名前や番号を必ず照合します
- 受けてからのキャンセルを避ける:両方で注文を受けてしまい、片方をキャンセルするのは、評価やアカウントに影響するおそれがあります
- スマホの電池と通信量:アプリを2つ動かすと電池の減りが早くなります。モバイルバッテリーは容量に余裕のあるものを用意します
保険・補償は「どの配達中か」で分かれる
各社の補償制度は、そのサービスの配達中の事故を対象にしているのが基本です。たとえばUber Eatsの公式ページでは、対人・対物賠償は配達リクエストを受けてから配達完了またはキャンセルまで、傷害補償はそれに加えて配達完了後15分以内の事故が対象とされています(2026年10月時点)。他社の配達中の事故は、その会社の補償制度や自分で入った保険で対応することになります。
掛け持ちをすると、どの補償の対象になるのかがわかりにくくなります。自分の自転車保険や任意保険、労災保険の特別加入など、サービスに関係なく使える備えを持っておくと安心です。詳しくは配達員の事故と保険で説明しています。
確定申告は全社分を合計する
掛け持ちをすると、収入が複数の会社から入ります。確定申告では、すべてのサービスの報酬を合計し、そこから経費を引いて所得を計算します。会社員の副業で「給与以外の所得が20万円以下なら確定申告は不要」という国税庁のルールも、配達の報酬すべてを合計した所得で判断します。各社の報酬明細はアプリやメールから取り出せる形で保存しておきましょう。詳しくは配達員の確定申告と税金を参照してください。
掛け持ちを始める手順
- 1社目で配達の流れ(受注、受け取り、受け渡し、評価)に慣れる
- 2社目の登録条件(車両、書類、エリア)を確認して登録する
- 両社の規約・ガイドラインで、兼業・同時受注・キャンセル・バッグの扱いを確認する
- 最初は時間帯やエリアで使い分け、それぞれの注文の入り方を把握する
- 報酬明細と経費の記録を、サービスごとにわかるように保存する
まとめ
- 掛け持ちには「時間・エリアで使い分ける」と「同時にオンラインにする」の2つのやり方がある
- 出前館は公式募集ページで副業・兼業を可能としている。同時受注の扱いなど、ほかの点は各社の規約で確認する
- 同時にオンラインにするなら、受けた注文を最優先にし、運転中にアプリを操作しない
- 各社の補償は基本的にそのサービスの配達中だけ。サービスに関係なく使える備えも考える
- 確定申告は全社分の報酬を合計して計算する
規約や補償制度は変更されることがあります。掛け持ちを始める前と、その後も定期的に、各社の公式サイト・アプリで最新の規約を確認してください。
