オリーブオイルとは、オリーブの実を搾ってとる植物油です。果実をそのまま搾った「バージン」系と、それを精製した油に大きく分かれ、香りが強いエクストラバージンから、くせの少ないピュアオリーブオイルまで、等級によって味も使い道も変わります。
このページでは、オリーブオイルの基本、国際的な等級と日本の規格の違い、選び方と保存のこつをまとめます。くわしい話はそれぞれの個別記事へつないでいるので、入口として使ってください。
オリーブオイルの基本
オリーブはモクセイ科の常緑樹で、地中海沿岸が代表的な産地です。多くの種子油が種から油をとるのに対し、オリーブオイルは果肉から油をとるのが特徴で、果物のしぼり汁に近い性格を持っています。そのため、搾りたてのものには青い草や青リンゴを思わせる香り、ほろ苦さ、のどにくるピリッとした辛みが感じられることがあります。
つくり方は、収穫した実を洗って果肉ごとすりつぶし、ペースト状にしたものから油分を分離するのが基本です。熱や薬品を使わず、機械的・物理的な方法だけでとった油を「バージンオリーブオイル」と呼びます。品質が十分でないバージンオイルは、脱酸・脱色・脱臭などの精製をして「精製オリーブオイル」になり、香りや色はほとんど抜けます。
脂肪酸ではオレイン酸の割合が高いのが特徴です。ただし体への影響は量や食生活全体によって変わるので、「体にいい油だからたくさんとればよい」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。カロリーはほかの食用油と大きく変わりません。
世界最大の産地はスペインで、イタリア、ギリシャ、トルコ、チュニジアなどが続きます。日本では香川県の小豆島が栽培の中心として知られています。オリーブとオリーブオイルが歩んできた道のりは、オリーブオイルの歴史でたどっています。
国際基準での等級(IOC)
オリーブオイルの等級としてよく引き合いに出されるのが、IOC(国際オリーブ理事会)の取引基準です。酸度(遊離脂肪酸の量をオレイン酸に換算した値)と、専門パネルによる官能検査、そのほか多くの理化学検査の結果で区分が決まります。おもな区分は次のとおりです。
| 区分(IOC) | 酸度の上限 | 内容 |
|---|---|---|
| エクストラバージンオリーブオイル | 0.8%以下 | バージンオイルの最上位。官能検査で欠陥がなく、果実の風味があること |
| バージンオリーブオイル | 2.0%以下 | そのまま食べられるバージンオイル |
| オーディナリーバージンオリーブオイル | 3.3%以下 | 販売国が認める場合に限り消費者向けに売れる |
| ランパンテバージンオリーブオイル | 3.3%超など | そのままでは食用に向かず、精製や工業用に回る |
| 精製オリーブオイル | 0.3%以下 | バージンオイルを精製したもの |
| オリーブオイル(精製+バージンのブレンド) | 1.0%以下 | 日本でいう「ピュアオリーブオイル」にあたる |
このほか、搾ったあとの残りかす(ポマース)から溶剤などで取り出した「オリーブポマースオイル」もあります。IOCの基準では、ポマースオイルを「オリーブオイル」の名前で売ることは認められていません。
酸度は品質を見るひとつの目安ですが、数字が低ければおいしいというほど単純ではありません。エクストラバージンの条件には、酸度のほかに官能検査で欠陥がないことが含まれていて、むしろそちらが等級を分ける大事な関門になっています。
日本の規格(JAS)と表示のルール
日本には「食用植物油脂の日本農林規格(JAS)」があり、その中に「食用オリーブ油」の規格があります。2024年10月にも改正されていますが、オリーブ油の区分は「オリーブ油」と「精製オリーブ油」の2つで、エクストラバージンやバージンといった区分はありません。
| JASの区分 | 酸価の基準 | おもな要件 |
|---|---|---|
| オリーブ油 | 2.0以下 | オリーブ特有の香味があり、おおむね清澄であること |
| 精製オリーブ油 | 0.60以下 | おおむね清澄で、香味良好であること |
JASの「酸価」はIOCの「酸度」とは単位の違う指標なので、数字を直接くらべることはできません。また、JASは任意の規格で、JASマークをつけていない商品も数多く出回っています。
「エクストラバージン」の表示については、長く公的な基準がない状態が続いてきました。そこで2023年3月に「エキストラバージンオリーブオイルの表示に関する公正競争規約」が告示され、2024年には業界団体の日本オリーブオイル公正取引協議会が設立されています。この規約はIOCの基準に準じた検査を表示の条件にしていますが、規約に参加する事業者の自主的なルールなので、店頭のすべての商品にあてはまるわけではありません。くわしくはエクストラバージンオリーブオイルの基準と見分け方で解説しています。
エクストラバージンとピュアの違い
家庭でよく目にするのは、エクストラバージンオリーブオイルとピュアオリーブオイルの2種類です。違いを大まかに整理すると次のようになります。
| 項目 | エクストラバージン | ピュア |
|---|---|---|
| つくり方 | 搾っただけで精製しない | 精製オリーブオイルにバージンオイルをブレンド |
| 香り・味 | 果実の香り、苦み、辛みがある | 穏やかでくせが少ない |
| 色 | 緑がかったものから黄金色まで | 淡い黄色 |
| 向く使い方 | 仕上げ、サラダ、パン、加熱調理全般 | 炒め物、揚げ物、焼き菓子など香りを控えたい料理 |
| 価格 | 高めのものが多い | 比較的手ごろ |
エクストラバージンは「生で使うもの」と思われがちですが、加熱調理にも使えます。発煙点は品質によって幅があり、エクストラバージンでおよそ190〜215℃、精製したものは230℃前後とされています。家庭の炒め物や揚げ物の温度なら、どちらも使える範囲です。ただ、加熱すると香りは飛びやすいので、香りを楽しみたいときは仕上げにかけるのが効率的です。ピュアオリーブオイルの特徴はピュアオリーブオイルとはにまとめています。
オリーブオイルの選び方
店頭で選ぶときは、ラベルの情報からわかることを手がかりにします。
- 用途で等級を決める:香りを生かしたいならエクストラバージン、香りを抑えたい料理にはピュアが便利です。
- 容器:オリーブオイルは光で傷みやすいので、遮光瓶や缶入りが安心です。透明な瓶なら店頭で光にさらされていないかも見ておきたいところです。
- 収穫時期・賞味期限:オリーブオイルは年月とともに香りが落ちていきます。収穫年や搾油日の記載があれば、新しいものを選ぶ目安になります。
- 産地:「EU産」「イタリアでボトル詰め」のように、原料の産地と詰めた国が違う場合もあります。気になるときは原産地の書き方を確かめましょう。
- 使い切れる量:開封後は少しずつ酸化が進むので、使う頻度に合った容量を選ぶのがいちばんの節約になります。
具体的な商品の選び方はオリーブオイルのおすすめで紹介しています。
保存方法と料理での使い方
オリーブオイルが苦手なのは、光、熱、空気の3つです。使ったらすぐにふたを閉め、直射日光とコンロの熱が当たらない、涼しい棚にしまうのが基本です。コンロの横に置きっぱなしにするのは避けましょう。
冷蔵庫に入れると、白く濁ったり固まったりすることがあります。これは低温で成分の一部が固まるためで、常温に戻れば元に戻りますが、出し入れをくり返すと結露などで品質が落ちやすくなります。基本は冷暗所での常温保存で、開封したら早めに使い切るのが理想です。
料理では、パスタやサラダはもちろん、和食や中華にも使えます。にんにくと唐辛子をオリーブオイルで温めるだけのペペロンチーノは、オイルの風味がそのまま味になる代表例です。トマトソースパスタやアクアパッツァのように、魚介や野菜と合わせる料理とも相性がよい油です。合わせるパスタの種類はパスタの種類一覧にまとめています。
まとめ
オリーブオイルは、オリーブの果肉から搾る油です。国際的にはIOCの基準で、酸度0.8%以下のエクストラバージンを頂点に、バージン、精製オリーブオイル、精製とバージンをブレンドした「オリーブオイル」(日本でいうピュア)などに分けられます。
一方、日本のJASには「オリーブ油」と「精製オリーブ油」の区分しかなく、エクストラバージンの表示は業界の公正競争規約で整えられつつある段階です。ラベルの等級だけに頼らず、容器や収穫時期、産地の書き方も見ながら、用途に合った1本を選び、光と熱を避けて早めに使い切るのが、おいしく使ういちばんの近道です。



コメント