アップルビネガーとは、りんごの果汁を発酵させて造る酢のことで、日本では「りんご酢」とも呼ばれます。りんご由来のやさしい香りと、角の取れた酸味が特徴で、ドレッシングやピクルスなどの料理にも、水や炭酸で割る飲み物にも使えます。このページでは、造り方と日本での基準、ほかの酢との違い、料理や飲み物での使い方を順に紹介します。
アップルビネガーとは
アップルビネガーは、果実を原料にした「果実酢」のひとつです。英語では apple vinegar のほか、apple cider vinegar(アップルサイダービネガー)と呼ばれることも多く、海外のレシピでは頭文字をとって ACV と書かれていることもあります。ここでいう「サイダー」は炭酸飲料ではなく、りんごを発酵させたお酒(シードル)やりんご果汁を指す言葉です。
造り方は、ほかの醸造酢と同じ二段階です。まず、りんご果汁の糖分を酵母がアルコールに変え、りんごのお酒をつくります。次に、そのアルコールを酢酸菌が酢酸に変えると、りんご酢になります。原料のりんごの香りや甘みが残るため、穀物から造る酢に比べてフルーティーで、口当たりがやわらかく感じられます。りんごのお酒そのものについてはシードルの記事で紹介しています。
日本での基準と表示
日本の食品表示の基準では、醸造酢のうち、酢1リットルあたりりんごの搾り汁を300g以上使い、酸度が4.5%以上のものを「りんご酢」と呼ぶことになっています。果実酢全体の基準も同じく、果汁300g以上・酸度4.5%以上です。酸度は容器に表示されているので、買うときに確かめられます。
店頭には、料理に使う「調味用のりんご酢」と、そのまま飲めるように甘みや果汁を加えた「飲む酢(飲料)」が並んでいます。前者は酸度が4.5%以上あり、そのまま口にすると強い酸味を感じます。後者は砂糖やはちみつ、果汁で飲みやすく調整されたもので、原材料名の最初に何が書かれているかを見ると区別しやすくなります。料理に使いたいのか、飲みたいのかで選び分けましょう。
ほかの酢との違い
同じ醸造酢でも、原料が違えば風味が大きく変わります。家庭でよく使う酢と比べると、次のようになります。
| 種類 | 主な原料 | 風味の傾向 | 向いている料理 |
|---|---|---|---|
| りんご酢 | りんご果汁 | フルーティーで酸味がやわらかい | ドレッシング、ピクルス、飲み物 |
| ワインビネガー | ブドウ果汁・ワイン | すっきり、または渋みのある酸味 | 洋風のマリネ、肉や魚のソース |
| 米酢 | 米 | 米のうまみと甘み | すし飯、酢の物 |
| 穀物酢 | 小麦・とうもろこしなど | クセが少ない | 料理全般 |
| 黒酢 | 米(玄米)・大麦など | まろやかでコクがある | 酢豚、炒め物、飲み物 |
りんご酢は「果実の香りがあるのに主張しすぎない」中間的な立ち位置です。ワインビネガーほど洋風に寄らず、米酢ほど和風にも寄らないので、和洋どちらの料理にもなじみやすいのが持ち味です。酢の種類全体についてはビネガーとはの記事で詳しくまとめています。
料理での使い方
ドレッシング
りんご酢1に対して油2〜3、塩と少しのこしょうを合わせると、基本のドレッシングになります。油をオリーブオイルにすれば地中海風に、ごま油にしょうゆを少し足せば和風になります。りんご酢は酸味がやわらかいので、はちみつをほんの少し加えると、子どもにも食べやすいまろやかな味わいになります。オイル選びはオリーブオイルの基本を参考にしてください。
ピクルス・マリネ
りんご酢と水を同量ほど合わせ、砂糖と塩で味を調えて温めたものに、きゅうりやにんじん、パプリカなどを漬けると、色のきれいなピクルスになります。酸味がとがりにくいので、ローリエや粒こしょうなどの香りも引き立ちます。玉ねぎを薄切りにしてりんご酢と塩でマリネしておけば、サラダや肉料理の付け合わせに重宝します。
煮込み・炒め物
豚肉や鶏肉をりんご酢と一緒に煮込むと、肉がさっぱりとした味わいになります。しょうゆや砂糖と合わせて甘酢あんにしたり、豚肉のソテーの仕上げに少し加えてソースにしたりするのもおすすめです。加熱すると酸味の角がとれ、りんごの甘い香りがほんのり残ります。
飲むときの楽しみ方と注意点
りんご酢は、水や炭酸水、牛乳、ヨーグルトドリンクなどで割って飲まれることも多い酢です。はちみつや砂糖を少し加えると飲みやすくなり、炭酸水で割ればさっぱりとしたドリンクになります。牛乳で割ると酸でとろみがつき、飲むヨーグルトのような口当たりになります。
ただし、調味用のりんご酢は酸度が高いので、原液のまま飲むのは避け、必ず水などでしっかり薄めてください。酸は歯の表面や胃に負担をかけることがあるため、空腹時に濃いまま飲むのも控えたほうが安心です。飲料タイプの商品は、ラベルに書かれた割り方に従いましょう。健康のために続けたいと考えている場合も、効果を期待しすぎず、体質や持病によっては合わないこともあるので、気になるときは医師に相談してください。
選び方と保存
選ぶときは、まず「調味用」か「飲料用」かを確かめます。料理に幅広く使いたいなら、原材料がりんご果汁だけの調味用のりんご酢が使いやすいでしょう。海外製のアップルサイダービネガーには、ろ過をしていない濁ったタイプもあり、瓶の底に「マザー」と呼ばれるもやのような沈殿が見られることがあります。これは発酵の過程でできるもので、商品の説明に書かれていれば心配はいりません。
酢は酸度が高く、もともと傷みにくい調味料ですが、開封後は香りが少しずつ抜けていきます。キャップをしっかり閉め、直射日光と高温を避けて保存し、早めに使い切るとりんごの香りを楽しめます。飲料タイプは甘みや果汁を含むものが多いため、ラベルに「開封後は冷蔵」とある場合はその指示に従ってください。
まとめ
アップルビネガー(りんご酢)は、りんご果汁をアルコール発酵させたあと、酢酸発酵させて造る果実酢です。日本では、りんごの搾り汁を酢1リットルあたり300g以上使い、酸度4.5%以上のものがりんご酢と呼ばれます。フルーティーでやわらかい酸味は、ドレッシングやピクルス、煮込みのほか、割って飲む使い方にも向いています。調味用と飲料用の違いを知って、料理と好みに合わせて使い分けてみてください。



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